
子宮の位置はどこ?正常な位置から位置異常の症状・治療まで医師が解説
公開日:2024.09.29更新日:2025.11.30
「子宮」は命を育む大切な臓器ですが、形や位置、役割について、具体的に知っている方は少ないです。子宮は骨盤内でハンモックのように支えられており、位置がずれてしまうことがあります。子宮後屈、子宮前屈、子宮下垂などの状態になると、月経痛や腰痛、排尿障害など、さまざまな不調が現れます。
この記事では、子宮の構造や役割、正常な位置と異常の種類、その原因や症状をわかりやすく解説します。正しい知識を持つことで、不安を減らし、自分の体をより健やかに保つ第一歩につながるはずです。
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子宮の位置や役割、構造の基本
子宮の基本を理解することで、位置の異常や体調不良との関係も見えやすくなります。子宮について、以下の3つを詳しく解説します。
- 子宮の形・大きさ・重さ
- 子宮の位置
- 子宮の3つの層の働き
子宮の形・大きさ・重さ
子宮の形は「洋なしをさかさまにしたような形」と表現されることが多く、上部が広く、下に向かって細くなっています。大きさは鶏卵くらいで、重さは40~50グラムほどです。握りこぶしよりも少し小さいぐらいです。小さな臓器の中に、新しい命が宿り、大きく成長していくので、とても神秘的と言えます。
子宮の大きさは、妊娠経験の有無や年齢によって個人差があるのが特徴です。
子宮の位置
子宮は、おへその下あたりにある「骨盤」と呼ばれる骨で囲まれた空間の中にあります。骨盤は、体の中心となる骨格で、上半身と下半身をつなぐ重要な役割を担っています。骨盤の中には、尿を貯めておく膀胱や、便を一時的に貯めておく直腸といった臓器と並んで、子宮も存在しています。
子宮の位置を、周りの臓器との位置関係で説明すると、膀胱の後ろ、直腸の前の空間に位置しています。子宮は、いくつかの靭帯と呼ばれる組織によって支えられており、前後左右に少し動きます。
子宮の3つの層の働き
子宮の壁は「子宮内膜」「子宮筋層」「漿膜(しょうまく)」の3つの層でできており、それぞれが以下のような役割を担っています。
- 子宮内膜:受精卵が着床し、赤ちゃんが育つ場所
- 子宮筋層:厚い筋肉の層で、妊娠中に子宮を大きくし出産時に収縮して赤ちゃんを押し出す
- 漿膜:子宮の外側を覆う膜で、臓器を保護し摩擦を防ぐ
子宮内膜は月経周期に合わせて厚みを変え、妊娠しなかった場合は剥がれ落ちて月経として排出されます。妊娠時には胎盤形成の基盤となり、母体から赤ちゃんへ酸素や栄養を届けます。子宮筋層は出産時の陣痛を生み出すほど強力な収縮力を持ち、産後は元の大きさに戻る役割も果たします。
漿膜は子宮を外的刺激から守るだけでなく、腸など周囲の臓器との摩擦を防ぐクッションのような役割を持っています。
子宮の位置異常の種類・原因・症状
子宮の位置異常について、以下の3つを解説します。
- 子宮の位置異常の種類
- 子宮の位置異常の原因
- 子宮の位置異常で起こる症状
子宮の位置異常の種類
子宮の位置異常には、大きく分けて3つのタイプがあります。まず過度な子宮後屈は、子宮が後ろ側に傾き直腸の方へ曲がっている状態で、比較的多く見られるものです。多くは自覚症状がなく、特に問題とならないことがほとんどですが、人によっては月経痛や腰痛が強くなることがあります。
過度な子宮前屈は、子宮が前方に傾き膀胱側へ曲がっている状態で珍しくはなく、通常は大きな影響を及ぼすことはありません。子宮下垂は、本来の位置より子宮が下がる状態を指し、骨盤底筋の低下や靭帯の損傷が主な原因です。程度によっては子宮が腟から出てしまうこともあり、尿漏れや強い不快感を伴う場合があります。
子宮の位置がずれることで日常生活に支障をきたすこともあるため、原因と症状を理解し、早めに適切な対処を行うことが大切です。
子宮の位置異常の原因
子宮の位置異常は、生まれつきの場合もあれば、加齢や生活習慣・病気など後天的な要因で起こることもあります。主な原因は次のとおりです。
- 骨盤底筋の衰え:加齢・出産・肥満・運動不足などで筋肉が弱り、子宮を支えられなくなる
- 子宮筋腫:良性腫瘍が大きくなると子宮を押し出し、位置が変わることがある
- 子宮内膜症:癒着によって子宮が引っ張られ、位置異常を起こすことがある
- 過去の妊娠・出産:骨盤底筋や靭帯が伸びたり傷ついたりし、支える力が低下する
- 遺伝:体質的に骨盤底筋や靭帯が弱い場合、位置異常が起こりやすい
出産経験のある方や加齢に伴う骨盤底筋の衰えは特に注意が必要です。子宮筋腫や子宮内膜症など病気による影響も考えられるため、気になる症状がある場合は早めに医師へ相談しましょう。
子宮筋腫は女性ホルモンの変化も大きく関わっています。ピルや性行為との関係についても解説しているのでぜひご覧ください。
>>子宮筋腫の原因は女性ホルモンの変化?ピルや性行為との関係についてもわかりやすく解説
子宮の位置異常で起こる症状
子宮の位置異常があっても無症状の方もいますが、周囲の臓器や神経を圧迫することで次のような症状が現れることがあります。
- 月経痛(生理痛):子宮後屈では月経血が排出されにくく、痛みが強くなりやすい
- 腰痛:子宮が神経や組織を圧迫して痛みを生じることがある
- 排尿障害:膀胱を圧迫し、頻尿や尿漏れにつながる(子宮前屈・子宮下垂に多い)
- 便秘:直腸を圧迫して便の通過が悪くなる
- 性交痛:性交時に子宮が刺激されて痛みが出ることがある(子宮後屈に多い)
腰痛や便秘は生活習慣が原因の場合もあるため、症状が続くときは自己判断せず医療機関に相談することが大切です。また、性交痛や排尿障害など生活に支障をきたす症状は、治療によって改善が期待できます。
子宮位置異常による妊娠や出産への影響
子宮位置異常による妊娠や出産への影響について、以下の3つを解説します
- 子宮位置異常が妊娠に与える影響
- 妊娠中に注意すべき子宮位置異常による症状
- 出産時の子宮位置と分娩への影響
子宮位置異常が妊娠に与える影響
軽度から中等度の子宮位置異常は妊娠の成立に大きな影響を与えることは少なく、多くの場合は自然妊娠が可能です。子宮の位置がやや異常であっても、卵管や卵巣の機能には影響しないため、排卵や受精には問題がないことがほとんどです。
子宮後屈の女性でも、妊娠率は正常位置の女性とほぼ変わらないことが報告されています。子宮位置異常があっても妊娠は十分可能であり、心配な場合は医師に相談して適切な検査や治療を受けることが重要です。
妊娠中に注意すべき子宮位置異常による症状
妊娠中は子宮が大きくなることで位置異常の影響が強まり、腰痛や頻尿、便秘などの症状が悪化することがあります。主な特徴は次のとおりです。
- 腰痛:子宮が神経や筋肉を圧迫して強く出やすい
- 頻尿:子宮下垂があると膀胱を圧迫しやすい
- 便秘:子宮後屈の場合、直腸を圧迫して便通が悪化する
上記の症状は一時的なものが多く、医師の指導を受けながら生活習慣を調整することで軽減できます。適切な管理を行えば妊娠の経過に大きな影響を及ぼすことは少なく、安心して妊娠期間を過ごすことが可能です。気になる症状があるときは自己判断せず、早めに相談することが大切です。
出産時の子宮位置と分娩への影響
ほとんどの子宮位置異常は分娩に大きな影響を与えることはなく、経腟分娩が可能ですが、まれに帝王切開が必要になる場合があります。妊娠後期には子宮の成長により位置異常が自然に改善されることが多く、分娩時には正常な位置に近い状態になっています。子宮下垂が高度の場合は、分娩時に子宮頸部の展開に影響することがあります。
子宮位置異常があっても安全な分娩は可能であり、医師の適切な管理により母子ともに健康な出産を迎えることができます。
子宮の位置異常の治療
子宮の位置異常の治療について、以下の2つを解説します。
- 子宮の位置異常の検査方法
- 子宮の位置異常の治療法
子宮の位置異常の検査方法
子宮の位置異常は、婦人科を受診することで調べられます。検査では、問診で生理痛や性交痛、排尿に関する症状などを聞かれた後に内診を行います。内診では、腟に指を入れて子宮の大きさや形、位置などを確認します。次に超音波検査を行います。
超音波検査では、お腹や腟にプローブをあてて、子宮の位置や形、周囲の臓器との関係などを画像で確認します。検査結果にもとづいて、子宮の位置異常の種類や程度を診断します。
子宮の位置異常の治療法
子宮の位置異常の治療法は、症状の程度や原因、妊娠を希望するかどうかに合わせて、医師が適切な方法を判断します。症状が軽度で妊娠を希望しない場合は、経過観察の場合もあります。症状が強い場合や妊娠を希望する場合には、積極的な治療が検討されます。主な方法は次のとおりです。
- 子宮の位置を矯正する治療:症状が強い場合に行われることがある
- 手術:重症例や他の方法で効果がない場合に実施され、位置修正や子宮摘出が選択される
- 骨盤底筋体操:筋肉を鍛えて子宮を支える力を高め、症状改善や予防を目指す
治療法は「今の症状のつらさ」と「将来の妊娠の希望」の両方を考慮して決めることが重要です。早めに医師へ相談し、自分に合った方法を選ぶことで安心して治療に取り組めます。
子宮の位置異常を予防・改善するセルフケア
子宮の位置異常を予防・改善するためには、日常生活の中でできるセルフケアも大切です。おすすめのセルフケアを以下で紹介します。
- 骨盤底筋を鍛える
- 姿勢を正しく保つ
- 適度な運動をする
- 食生活を改善する
骨盤底筋を鍛える体操は、子宮や膀胱、直腸などの臓器を支える筋肉を鍛えます。骨盤底筋体操で、子宮の位置を安定させられます。
姿勢を正しく保つことも大切です。猫背などの悪い姿勢は、骨盤の歪みや子宮の位置異常を引き起こす可能性があります。日頃から背筋を伸ばし、正しい姿勢を意識しましょう。
運動不足は、骨盤底筋の衰えや血行不良などを招き、子宮の位置異常のリスクを高める可能性があります。ウォーキングやヨガなど、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。
バランスの良い食事を心がけ、骨盤周りの筋肉や靭帯の働きを助ける栄養素を積極的に摂りましょう。カルシウムやタンパク質、ビタミンDなどがおすすめです。これらの栄養素は、骨や筋肉の健康維持に役立ちます。
他にも、重いものを持つときは注意が必要です。重いものを持ち上げる際は、腰に負担をかけないように、膝を曲げて持ち上げましょう。子宮の位置異常は、適切な治療やセルフケアによって改善できる可能性があります。
子宮位置に関するよくある質問
子宮位置に関するよくある質問として、以下の3つを解説します。
- 「子宮が下がっている」と言われたら?
- 子宮位置異常は遺伝する?
- 日常生活で気をつけることは?
「子宮が下がっている」と言われたら?
子宮の下垂には軽度から重度まで段階があり、それぞれ症状や治療法が異なります。軽度の子宮下垂では、骨盤底筋トレーニングや姿勢の改善で症状が改善することがあります。中等度の場合は、ペッサリーという器具を使った治療が選択されることが多く、重度の場合は手術治療が検討される場合があります。
症状がほとんどない場合は、経過観察のみということもあります。医師から詳しい説明を受けたうえで、自分の生活スタイルに合った治療法を一緒に検討し、不安や疑問があればその都度相談することが重要です。
子宮位置の異常は遺伝する?
子宮位置異常そのものが直接遺伝するわけではありませんが、体質的な要因が遺伝する可能性があります。子宮位置異常は、生まれつきの体質、出産経験、加齢による組織の変化、生活習慣など複数の要因が関わって起こります。靭帯や筋肉の強さ、骨盤の形などの体質的要因は遺伝の影響を受ける可能性があります。
母親や姉妹に子宮脱や子宮下垂の経験がある女性は、同様の問題を抱えるリスクがやや高いことが知られています。適切な予防策を取ることで、そのリスクを下げることができます。家族歴があっても子宮位置異常になるわけではなく、日常のケアや生活習慣の改善により予防することが可能です。
日常生活で気をつけることは?
子宮の位置を健康に保つには、日常の姿勢や生活習慣を見直すことが大切です。特に骨盤底筋や靭帯に負担をかけない工夫が予防につながります。主なポイントは次のとおりです。
- 正しい姿勢を維持する:デスクワークでは背筋を伸ばし、1時間ごとに立ち上がってストレッチをする
- 重いものを安全に持ち上げる:膝を曲げてしゃがみ、息を止めずに持ち上げる
- 適度な運動を取り入れる:ウォーキングや水泳で骨盤底筋を強化する
これらは特別なことではなく、日常生活で取り入れやすい習慣です。運動不足は、長時間の悪い姿勢は骨盤への負担を増やすため、注意が必要です。正しい姿勢や適度な運動を意識することで、子宮の位置異常を防ぐだけでなく、全身の健康維持にも役立ちます。
まとめ
「子宮」は妊娠すると赤ちゃんが10か月間も過ごす場所になる、命を育むための神秘的な臓器です。子宮は骨盤で囲まれた空間に位置します。子宮は骨盤内で靭帯によって支えられており、妊娠・出産において重要です。骨盤底筋の衰えや子宮筋腫などにより、子宮の位置異常が起こることがあります。
子宮の位置異常によって、月経痛や腰痛、排尿障害などの症状が出ることがあります。子宮の位置異常がある場合は、自宅でもできるセルフケアによって改善することも可能です。検査は問診や内診、超音波検査で行い、治療は症状や原因、妊娠希望の有無で異なります。一人で悩まずに、まずは医療機関を受診しましょう。
当院では、子宮鏡検査も行っています。どのタイミングで受けるべきか、検査の内容なども解説しているので、ぜひ以下の記事もご覧ください。
>>子宮鏡検査とは?受けるタイミングは?検査の流れや費用、痛みを徹底解説
参考文献
- Emily R Schneider.Retroverted Uterus in the First Trimester and Associated Pregnancy Outcomes.Am J Perinatol,2025,42,9,p.1179-1185
- Parisa Samimi, Sarah H Jones, Ayush Giri. Family History and Pelvic Organ Prolapse: A Systematic Review and Meta-analysis. Int Urogynecol J, 2020,32,4, p.759-774