
【医師監修】受精から着床まで何日?症状・兆候・体調変化を医師が解説
公開日:2025.07.19更新日:2025.11.30
受精から着床までは、一般的に6〜12日程度の期間で起こります。この短い期間に、生命誕生の奇跡ともいえる驚くべき変化が起こっています。数億個の精子の中から1つだけが卵子と出会い、受精卵となって細胞分裂を繰り返しながら卵管を通って子宮へと移動します。そして、準備の整った子宮内膜に着床することで妊娠が成立するのです。
「着床がうまくいかない」「体調の変化がよくわからない」「どんなことに気をつければいいの?」など、多くの疑問や不安を抱えている方も少なくありません。この記事では、受精から着床までの詳しい流れから体に起こる変化、着床しやすい環境づくりの方法まで、医師監修のもと解説します。
妊娠を希望されている方にとって役立つ情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、妊娠の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。
受精から着床までの流れ
受精から着床までの流れとして、以下を解説します。
- 受精のメカニズム
- 受精卵の分割と移動
- 胚盤胞の形成
- 着床のプロセス
受精のメカニズム
受精は、精子と卵子が出会うことで始まります。数億個もの精子が、卵子を目指して長い旅をします。卵子の周りには「透明帯」というバリアが存在し、すべての精子が卵子に出会えるわけではありません。選ばれし精子だけが、酵素を巧みに使ってバリアを突破し、卵子の中へと入っていくことができるのです。
精子と卵子の核が融合し、新しい命が誕生する瞬間が「受精」です。
受精卵の分割と移動
受精卵は、卵管の中で細胞分裂を始めます。細胞分裂は「卵割」と呼ばれ、受精卵は卵割を繰り返しながら、卵管の壁を波打つように動き、子宮へとゆっくりと移動していきます。移動には約4~6日かかります。
卵管での着床は異所性妊娠(子宮外妊娠)として起こることがあります。卵管が破裂する危険性もあるため、早期発見と適切な対応が重要です。受精卵が子宮まで無事にたどり着けるかどうかは、妊娠の成立において重要なポイントです。
胚盤胞の形成
子宮にたどり着く頃には、受精卵は「胚盤胞」と呼ばれる状態になっています。胚盤胞は、以下の要素から構成されます。
- 将来赤ちゃんになる部分(内部細胞塊)
- 胎盤になる部分(栄養膜)
- 羊膜になる部分
最新の研究では、多能性ヒト幹細胞から作成された 「ブラストイド(blastoids)」 が、胚盤胞発生と着床のプロセスをモデル化するために利用されています。ブラストイド研究は、ヒトの初期胚発生のメカニズム解明に大きく貢献しています。
胚盤胞の形成過程における遺伝子発現や細胞間の相互作用などが詳細に解析され、着床障害の原因解明や新たな不妊治療法の開発に役立つことが期待されています。
不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
>>不妊症とは?原因・症状・検査・治療法まで妊娠のために知っておきたい基礎知識を解説
着床のプロセス
子宮にたどり着いた胚盤胞は、子宮内膜という厚く柔らかなベッドに潜り込みます。根を張るようにくっつき始めるプロセスが「着床」です。着床が始まると、胚盤胞は子宮内膜から栄養を受け取り、さらに成長を続けます。着床は、受精後約7日目頃から始まり、約5日間かけて完了します。
胚着床は、着床能を獲得した胚盤胞と受容性の高い子宮内膜との密接な相互作用によって行われます。「着床窓」と呼ばれる限られた期間にのみ起こります。期間を逃すと、着床は失敗に終わります。着床が成功すると、お母さんの体の中では、妊娠を維持するためのホルモンが分泌され始め、新しい命が本格的に芽生え始めるのです。
受精から着床までの期間の体調変化
受精から着床までの期間の体調変化について、以下の4つを解説します。
- 着床前の症状
- 着床時の症状
- ホルモンバランスの変化と体への影響
- 基礎体温の変化パターンと読み方
着床前の症状
受精卵が子宮内膜へ着床する前の数日間は、自覚症状がほとんどない方が多いです。注意深く観察すると、おりものや基礎体温の変化に気づけます。おりものの量や質の変化は、着床前のサインの一つです。サラサラとした水っぽいおりものが増えたり、粘り気が強くなって、卵白のようなおりものが出たりすることがあります。
子宮内膜が受精卵を受け入れる準備を進めているサインです。子宮内膜は、受精卵が着床しやすいように厚みを増し、ふわふわの状態になります。変化に伴い、おりものの分泌量も変化します。基礎体温を毎日測定している方は、高温期が続くことで妊娠の可能性に気づくことが可能です。
排卵後には基礎体温が上昇し、高温期が約2週間続きます。妊娠した場合、高温期が生理予定日を過ぎても継続します。基礎体温は、ホルモンバランスの変化を反映するため、妊娠の早期発見に役立ちます。ストレスや睡眠不足などによっても影響を受けるので、正確な判断には、日々の記録が不可欠です。
その他にも、ごく少量の出血(着床出血)や軽い腹痛、眠気やだるさなどの症状が現れる場合があります。妊娠以外の原因でも起こりうるため、必ずしも妊娠のサインとは限りません。
妊活のベストタイミングが知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
>>妊活のベストタイミングはいつ?成功率を上げるコツを医師が解説
着床時の症状
着床が始まると、受精卵は子宮内膜に根を張り始めます。子宮内膜の毛細血管を傷つけることで、少量の出血が起こるのが「着床出血」です。持続期間も短く、1~3日程度で治まるのが一般的です。個人差があるため、出血が続く場合は、医療機関を受診するようにしてください。
着床時には、子宮が収縮することで、下腹部に軽い痛みやチクチクとした痛みを感じる方もいます。「着床痛」と呼ばれ、生理痛に似た痛みを感じる方もいます。着床痛も個人差が大きく、全く感じない方もいれば、生理痛と同じくらいの痛みを感じる方もいます。
つわりは、妊娠初期によく見られる症状で、吐き気や嘔吐、食欲不振などが主な症状です。つわりの程度も個人差が大きく、全く症状がない方から、日常生活に支障が出るほど重症化する方までさまざまです。
症状がなくても妊娠している可能性は十分にあります。妊娠の可能性があるかどうかを確認するためには、市販の妊娠検査薬か、医療機関を受診して検査を受けるようにしましょう。
ホルモンバランスの変化と体への影響
受精から着床にかけて、プロゲステロンとエストロゲンというホルモンが大きく変化し、体にさまざまな影響を与えます。これらのホルモンは受精卵が着床しやすい環境を作るため、また妊娠を維持するために分泌量が調整されます。主なホルモンの働きは、以下のとおりです。
- プロゲステロン:子宮内膜を厚くし、受精卵の着床を助ける
- エストロゲン:子宮内膜の血流を改善し、着床環境を整える
- hCG:着床後に分泌が始まり、妊娠を維持する
ホルモン変化により、眠気や乳房の張り、軽い吐き気、情緒の変化などが現れることがあります。おりものの質や量の変化も、ホルモンバランスの変化が原因です。それぞれの症状は自然な現象であり、妊娠の準備として体が正常に機能している証拠です。ただし、症状の現れ方には個人差があり、全く感じない方もいます。
基礎体温の変化パターンと読み方
基礎体温の変化は妊娠の早期発見に最も有効な指標の一つです。正しい測定方法と読み方を理解することで、着床のタイミングや妊娠の可能性を把握できます。正常な基礎体温は以下の3パターンに分かれます。
- 低温期:月経開始から排卵まで(約14日間)
- 高温期:排卵後から次の月経まで(約14日間)
- 妊娠時:高温期が3週間以上継続
着床時の特徴的な変化は、主に以下の3つです。
- 高温期が生理予定日を過ぎても続く
- 着床ディップ(一時的な体温低下)が見られる場合がある
- 妊娠が成立すると36.7度以上が継続することが多い
基礎体温は起床直後、体を動かす前に測定することが重要です。ストレスや睡眠不足、体調不良によっても影響を受けるため、継続的な記録と総合的な判断が必要です。3周期以上記録を続けることで、自分の体のリズムを把握できるようになります。

着床しやすい環境づくり
着床しやすい環境づくりに必要なことは、主に以下の3つです。
- 生活習慣を心がける
- 栄養バランスを整える
- ストレスを管理する
日常生活の改善により、自然な妊娠しやすい体を目指すことができます。
生活習慣を心がける
規則正しい生活リズムと適度な運動は、着床しやすい体づくりの基本です。十分な睡眠とストレス管理により自律神経が整い、ホルモンバランスが安定するためです。また、適度な運動は血流を改善し、子宮内膜の状態を良好に保つ効果があります。過度な運動や睡眠不足は逆にホルモンバランスを乱す可能性があるため、バランスが重要です。
毎日7〜8時間の睡眠を心がけ、ウォーキングやヨガなどの軽い運動を週3回程度行うことをおすすめします。入浴やアロマテラピーなどでリラックス時間を作ることも効果が期待できます。無理のない範囲で生活習慣を整えることで、自然な着床環境を整えることができます。
栄養バランスを整える
葉酸や鉄分、たんぱく質などの栄養素をバランス良く摂取することで、着床しやすい体作りをサポートできます。葉酸は細胞分裂に必要な栄養素で、受精卵の正常な発達に重要です。鉄分は子宮内膜の血流改善に、たんぱく質は卵子の質向上に関係しています。これらの栄養素が不足すると、着床環境に影響を与える可能性があります。
抗酸化作用のあるビタミン類も、卵子や精子の質を保つために大切です。緑黄色野菜(ほうれん草やブロッコリーなど)で葉酸を、赤身肉や魚で鉄分とたんぱく質を、果物でビタミンCを摂取しましょう。サプリメントに頼りすぎず、まずは食事から栄養を摂ることが基本です。
ストレスを管理する
過度なストレスは着床に悪影響を与える可能性があるため、適切なストレス管理が重要です。ストレスにより分泌されるコルチゾールというホルモンが、妊娠に関わるホルモンバランスを乱す可能性があるためです。ストレスは血流を悪化させ、子宮内膜の状態にも影響することが知られています。妊活中は特に結果を急ぎがちですが、リラックスして過ごすことが大切です。
以下のようなリラックス方法を見つけておくことが大切です。
- 深呼吸
- 瞑想
- 好きな音楽を聴く
- 友人との会話
妊活のことを考えすぎず、趣味や仕事に集中する時間も意識的に作りましょう。
着床率を高めるための方法
着床率を高めるためにできることは、以下のとおりです。
- 基礎体温を測る
- 排卵日を予測する
- タイミング法を試す
基礎体温を測る
基礎体温を毎日測ることで、排卵日を予測できます。排卵日前後に性交渉を持つことで、妊娠の確率を高めることが可能です。基礎体温計の使い方や記録の仕方などは、薬局や産婦人科で相談してみましょう。
排卵日を予測する
基礎体温以外にも、市販の排卵検査薬を使用することで、排卵日をより正確に予測できます。排卵検査薬は、尿中の黄体形成ホルモン(LH)の濃度を測定することで、排卵日を予測します。LHは、排卵の直前に急激に増加するため、排卵検査薬でLHサージを捉えることで排卵日を予測できます。
タイミング法を試す
タイミング法とは、排卵日を予測して性交渉を持つことで、妊娠率を高める方法です。基礎体温や排卵検査薬などを活用し、排卵日を特定しましょう。
受精から着床までに関するよくある質問
受精から着床までに関するよくある質問は、以下の3つです。
- 着床出血と生理の見分け方は?
- 妊娠検査薬を使用するタイミングは?
- 着床に失敗する原因は?
- 着床の確率を上げる方法は?
- 医療機関を受診する目安は?
正確な情報を知ることで、適切な判断と行動ができるようになります。
着床出血と生理の見分け方は?
着床出血と生理は出血量、色、期間で区別できます。着床出血は受精卵が子宮内膜に着床する際の軽微な出血で、生理とは原因が異なるためです。着床出血は受精卵が子宮壁に潜り込む際に起こる生理現象で、生理のように子宮内膜が剥がれ落ちることによる出血ではありません。そのため、出血の特徴も大きく異なります。
着床出血は通常1〜3日と短く、薄いピンクや茶色で量も少量です。生理は3〜7日続き、鮮やかな赤色で量も多く、塊が混じることもあります。着床出血に生理痛のような強い痛みはありません。ただし個人差があるため、判断に迷う場合は基礎体温の変化も合わせての観察をおすすめします。
なお、着床出血かどうかを判断する際に「見た目の色の違い」を知っておくことも大切です。以下の記事では、茶色・ピンク・赤といった着床出血の色の違いや、それぞれの見極めポイントについて詳しく解説しています。自分の出血の状態に不安がある方はぜひ参考にしてください。
>>着床出血の見た目が知りたい!茶色・ピンク・赤の違いと判断ポイント
妊娠検査薬を使用するタイミングは?
妊娠検査薬は生理予定日の1週間後以降に使用することで、正確な結果が期待できます。妊娠検査薬は尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を検出しますが、このホルモンは着床後に分泌され始め、徐々に濃度が上昇するためです。着床直後では濃度が低く、正確に検出できない可能性があります。
検査薬の感度にもよりますが、確実性を求めるなら適切な時期まで待つことが重要です。生理周期が28日の方の場合、生理予定日から1週間後(妊娠5週頃)に検査することで、約99%の精度で判定できます。早期検査薬なら生理予定日頃から検査可能ですが、偽陰性の可能性があります。フライング検査で陰性でも妊娠の可能性はあるため、適切な時期に再検査をおすすめします。
着床に失敗する原因は?
着床に失敗する原因は大きく分けて受精卵側の要因と母体側の要因があります。受精卵側では染色体異常が最も多く、正常な発達ができない受精卵は自然に淘汰されます。自然な現象で、年齢とともに増加する傾向があります。受精卵側の主な原因は、以下のとおりです。
- 染色体異常(約60〜70%)
- 受精卵の発達異常
- 遺伝子の問題
母体側の主な原因として、以下の5つが挙げられます。
- 子宮内膜の厚さ不足
- ホルモンバランスの乱れ
- 子宮の形態異常
- 免疫系の問題
- 血流不良
生活習慣も影響します。過度なストレスや睡眠不足、喫煙、過度な飲酒、極端なダイエットなどは着床環境を悪化させる可能性があります。多くの場合、要因が複合的に関わっているため、一つの原因を特定するのは困難です。重要なのは、着床の失敗は珍しいことではなく、多くの女性が経験する自然な現象であることを理解することです。
以下の記事では、着床しなかった場合に現れやすい体の変化や症状について詳しく解説しています。妊娠の兆候がないか気になっている方や、リセットのサインを知りたい方に役立つ内容です。
>>着床しなかった時の症状、体の変化とは?妊娠失敗のサインを解説
着床の確率を上げる方法は?
着床の確率を上げるには、心身ともに健康な状態を保つことが最も重要です。医学的に証明された方法を中心に、生活習慣の改善から始めることをおすすめします。完璧を求めすぎず、できることから少しずつ取り組むことが大切です。生活習慣の改善ポイントは、以下の4つです。
- 規則正しい睡眠(7〜8時間)
- 適度な運動(週3回程度の軽い運動)
- 禁煙・節酒
- ストレス管理
栄養面での対策としては、普段から以下のことを意識しましょう。
- 葉酸の摂取(妊娠前から)
- バランスの良い食事
- 適正体重の維持
- 十分な水分摂取
上記の方法を実践しても100%着床が保証されるわけではありません。年齢や個人の体質による影響も大きく、自然妊娠では健康な夫婦でも1周期あたりの妊娠率は約20〜25%とされています。焦らず、長期的な視点で取り組むことが重要です。
医療機関を受診する目安は?
妊娠検査薬で陽性が出た場合や、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。正常な妊娠かどうかを確認し、適切な妊娠管理を始めるためです。子宮外妊娠などの異常妊娠の早期発見も重要です。強い腹痛や大量出血がある場合は、緊急性が高い可能性があります。
定期的な健診により、母体と胎児の健康状態を適切に管理できます。妊娠検査薬陽性なら妊娠6〜7週頃(生理予定日から2〜3週間後)に受診し、心拍確認を行います。強い下腹部痛や大量出血、激しい吐き気などがある場合は、時期を問わず早急に受診が必要です。自己判断せず、専門医による適切な診断と指導を受けましょう。
まとめ
妊娠初期は、心身ともに負担がかかりやすい時期です。バランスの良い食事や適度な運動、質の良い睡眠を心がけ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。基礎体温を測ったり、排卵日を予測したりすることで、妊娠の可能性を高めることもできます。もし何か気になることや不安なことがあれば、一人で悩まずに、医療機関に相談してください。
専門家のサポートを受けながら、安心して妊娠期間を過ごせるように願っています。神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、妊娠の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
参考文献
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- Kagawa H, Javali A, Khoei HH, Sommer TM, Sestini G, Novatchkova M, Scholte Op Reimer Y, Castel G, Bruneau A, Maenhoudt N, Lammers J, Loubersac S, Freour T, Vankelecom H, David L, Rivron N. “Human blastoids model blastocyst development and implantation.” Nature 601, no. 7894 (2022): 600-605.