
精子の質と量を向上させる生活習慣|寿命・受精能力・食べ物の関係を詳しく解説
公開日:2025.07.19更新日:2026.01.28
精子量が多い男性は、健康的であり妊娠の可能性が高いと一般的に考えられていますが、精子量だけが妊娠の決定要因ではありません。精子の量は健康状態や生活習慣、遺伝など、さまざまな要因に左右されています。精子量とは、精液1ミリリットルあたりに含まれる精子の数を指し、精液全体の量(精液量)とは異なります。
この記事では、精子量が多い人の特徴に加え、精子の寿命や質、年齢との関係、そして精液を回復させるための食べ物まで、男性の健康と妊娠にまつわる重要な情報を解説します。これからパートナーと子作りを考えている方、将来的な妊娠を視野に入れている方、ご自身の健康管理に興味のある方は必見です。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、精子や妊娠へのお悩みにも強みを持つクリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

精子量の基礎知識
精子量について正しく理解するためには、まず正常値や減少の原因を知ることが大切です。精子量の基礎知識として、以下の2つを解説します。
- 精子量の正常値
- 精子量減少の主な原因
精子量の正常値
精子量の正常値を知ることで、自分の状態を客観的に把握できるようになります。世界保健機関(WHO)が定める最新の基準では、精液量が1.5ml以上、精子濃度が1mlあたり1500万個以上、総精子数が3900万個以上とされています。妊娠に必要な最低限の基準として設定されており、この値を下回る場合は男性不妊の可能性が考えられます。
正常値はあくまでも目安であり、個人差があることを理解しておく必要があります。一度の検査で基準値を下回っても、体調や季節、ストレスなどの影響で一時的に数値が変動することもあります。医療機関では通常2〜3回の検査を行い、平均値で判断することが一般的です。
精子量だけでなく、精子の運動率や形態も重要な要素なため、総合的な評価が必要です。妊活を考えている方は、パートナーと一緒に検査を受けることをおすすめします。
以下の記事では、男性不妊になりやすい人の特徴についてまとめています。ご自身に当てはまらないか、心配な方はぜひチェックしてみてください。
>>【医師が解説】男性不妊になりやすい人とは?今すぐチェックしたい5つの特徴と対策
精子量減少の主な原因
精子量減少の主な原因は以下の5つです。
- 加齢による自然な減少
- 生活習慣の乱れ
- ストレス
- 環境要因
- 病気
加齢については、35歳を過ぎると精子の質と量が徐々に低下し始めることが知られています。生活習慣では、喫煙や過度の飲酒、肥満、睡眠不足、運動不足が精子量に悪影響を与えます。特に喫煙は精子のDNAを損傷させ、数だけでなく質も低下させる重要な要因です。環境要因としては、長時間の入浴やサウナ、化学物質への暴露、放射線などがあります。
病気では、精索静脈瘤や感染症、ホルモン異常、糖尿病などが関係することがあります。精神的ストレスも見逃せない要因で、慢性的なストレスはホルモンバランスを崩し、精子の製造に悪影響を与えます。
精子量が多い人の特徴5選
精子の健康維持に関連するとされる要因は以下のとおりです。
- 健康的な生活習慣が整っている
- ストレス管理ができている
- 禁煙・禁酒ができている
- 睾丸を温めすぎない
- 遺伝的要因
精子の量は個人差も大きく、健康状態や生活習慣、遺伝などさまざまな要因が複雑に絡み合っています。
健康的な生活習慣が整っている
精子量が多い人の多くは、健康的な生活習慣を維持しています。バランスの良い食事や適度な運動、質の高い睡眠は、精子の生産にも大きく影響します。
食事では、精子の材料となるタンパク質、運動性を高める亜鉛の摂取が重要です。鶏肉や豚肉などの良質なタンパク質、牡蠣や牛肉などの亜鉛を多く含む食品を積極的に摂ることをおすすめします。
運動は精巣への血流を促進し、栄養供給をスムーズにするのに効果が期待できます。週に3回程度のウォーキングや軽いジョギングを継続的に行いましょう。ただし、過度な運動は活性酸素を発生させ、精子に悪影響を与える可能性もあるため、バランスが重要です。
ストレス管理ができている
精子量が多い人は、ストレスを上手に管理していることが多いです。ストレスは、男性ホルモンの分泌を抑制し、精子量に悪影響を及ぼす可能性があります。
具体的なストレス解消法は以下のとおりです。
- 趣味に時間を費やす
- リラックスできる音楽を聴く
- 自然の中で過ごす
- 家族や友人、同僚に相談する
一人で抱え込まず、誰かに話すことで気持ちが楽になることもあります。深刻なストレスを抱えている場合は、専門機関に相談することも検討しましょう。
禁煙・禁酒ができている
タバコに含まれるニコチン、アルコールに含まれるアセトアルデヒドは、精子の質を低下させることが知られています。精子量が多い人は、禁煙や禁酒、電子タバコも控えている人が多い傾向です。どうしてもやめられない場合は、本数を減らしたり、量を控えたりするなど、できる範囲で努力することが大切です。
禁煙外来やアルコール依存症の専門機関に相談することもおすすめします。
睾丸を温めすぎない
精子は熱に弱いため、睾丸を温めすぎないことも重要です。精子量が多い人は、日常生活で睾丸の温度を適切に保つ工夫をしています。熱いお風呂に長時間浸かることやサウナは避け、デスクワークが多い人は、こまめに立ち上がる、軽いストレッチをするなどの工夫をしてみましょう。
遺伝的要因
精子量は遺伝的な要因も影響を受けます。両親や祖父母など家系に精子量の多い人がいる場合、遺伝的に精子量が多い体質の可能性があります。遺伝的な要素は自分でコントロールできませんが、健康的な生活習慣などを意識することで、精子の質を維持・向上させることは可能です。
精子量を自然に増やす生活習慣
精子量を自然に増やす生活習慣として、以下のポイントを解説します。
- 適度な運動の効果
- 質の良い睡眠の重要性
- 適正体重の維持
適度な運動の効果
適度な運動は精子量を増やす最も自然で効果が期待できる方法の一つです。運動によって血液循環が改善され、精巣に十分な栄養と酸素が供給されるため、精子の製造が活発になります。運動はテストステロン(男性ホルモン)の分泌を促進し、精子の質と量の向上が期待できます。
おすすめの運動は、週3〜4回、30分程度の有酸素運動です。ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどが理想的で、激しすぎない程度の強度が重要です。筋力トレーニングも適度に取り入れましょう。ただし、過度な運動は逆効果となり、ストレスホルモンの増加や疲労蓄積により精子量が減少する可能性があります。
特に注意が必要なのは、長時間のサイクリングです。サドルによる精巣への圧迫や股間部の温度上昇が精子に悪影響を与える場合があります。運動後は十分な休息を取り、バランスの良い食事で栄養補給することで、より改善が期待できます。
質の良い睡眠の重要性
質の良い睡眠は精子量増加に欠かせない要素です。睡眠中に分泌される成長ホルモンやテストステロンが精子の製造を促進するため、十分な睡眠時間と深い眠りが重要です。研究によると、睡眠不足の男性は精子濃度が約25%低下することが報告されています。
理想的な睡眠時間は7〜8時間で、毎日同じ時刻に就寝・起床することで体内時計が整い、ホルモンの分泌リズムが正常化されます。質の良い睡眠のためには、就寝前のスマートフォンやテレビの使用を控え、部屋を暗くして静かな環境を作りましょう。
ブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制するため、就寝2時間前からは電子機器の使用を避けましょう。寝室の環境も重要で、温度は18〜22度程度に保ち、湿度は50〜60%が理想的です。カフェインやアルコールの摂取は就寝3〜4時間前までに控えることで、眠りが深まり、精子量の改善につながります。
適正体重の維持
適正体重の維持は精子量に大きく影響する重要な要素です。肥満はホルモンバランスを崩し、テストステロンの減少や精巣周辺の温度上昇を引き起こすため、精子の質と量が低下しやすくなります。極端な痩せすぎも、栄養不足により精子製造に悪影響を与える可能性があります。
BMI(体格指数)を目安にした体重管理が重要で、計算式は「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」です。18.5〜24.9が標準範囲とされ、この範囲内での体重維持が推奨されます。減量には無理な食事制限ではなく、バランスの良い食事と適度な運動を組み合わせることが重要です。
月1〜2kgのペースでゆっくりと体重を落とし、筋肉量を維持しながら脂肪を減らすことを目標にしましょう。健康的な範囲での体重管理を継続することで、精子量の改善が期待できます。
精子の寿命と受精への影響
精子の寿命と受精への影響として、以下の内容を解説します。
- 精子の寿命
- 精子の質と量の関係性
- 年齢と精子の関係
精子の寿命
精子の寿命は、置かれた環境によって大きく変化します。体外に出た精子はデリケートで、数時間しか生きられません。女性の体内に入ると環境が一変し、寿命が数日間になります。子宮内や卵管内は、精子が活動するための栄養や水分が豊富に存在し、体温も適切に保たれているため、精子が生きやすい環境です。
体外受精では、採取した精子を体外で培養した後、卵子と受精させます。受精までの過程で、精子の寿命は重要です。質の良い精子であれば、体外でも数日間生存し、受精能力を維持できます。しかし、質の悪い精子は、体外ではすぐに死滅してしまうため、受精が難しくなります。

精子の質と量の関係性
精子の量と質は、必ずしも比例するわけではありません。量がどれだけ多くても、奇形率(正常な形をしていない精子の割合)が高かったり運動率が低かったりするなど、質が悪い精子では受精能力は低いままです。量が少なくても質が良ければ、受精能力は高くなる可能性があります。
大切なのは、量と質のバランスです。妊娠の可能性を高めるためには、精子の量と質を両方高めることが必要です。
以下の記事では、精子の「運動率」について、基礎的な定義から運動率を高めるための生活習慣や必要な栄養素まで、わかりやすく解説しています。精子の質を高めたい方や妊活中のご夫婦は、是非チェックしてみてください。
>>精子の運動率とは|基準値・検査方法・改善のための生活習慣を解説
年齢と精子の関係
年齢を重ねると、精子の量と質が低下する傾向があります。年齢に伴う精子の量・質の低下は自然な現象であり、誰にでも起こりうることです。しかし、年齢に合わせた適切なケアにより、健康な精子を維持できます。
加齢による精子の質の低下は、40歳頃から顕著になるといわれています。具体的には、精子量の減少や運動率の低下、奇形率の増加などです。精子の変化は、自然妊娠の確率を低下させる要因となります。
年齢に伴う精子の変化が心配な場合、医療機関での検査や治療も有効な手段です。精液検査を受けることで、精子の量や質の状態を正確に把握できます。必要に応じて、薬物療法や生活指導などの適切な治療も可能です。
以下の記事では、初めて精液検査を受ける方に向けて、検査内容や流れ、費用の目安、結果の見方までわかりやすく解説しています。不安を感じている方にも役立つ情報がまとめられていますので、ぜひご確認ください。
>>【初めての方必見】精液検査とは?検査内容・費用・結果の見方をわかりやすく解説
精液を回復させるための食べ物
毎日の食事で精液を回復させる効果が期待できます。特に摂取してほしい栄養素は以下のとおりです。
- 亜鉛
- ビタミンC
- オメガ3脂肪酸
亜鉛
亜鉛は、精子の生成に欠かせない栄養素です。亜鉛が不足すると、精子の数が減ったり、動きが悪くなったりする可能性があります。亜鉛を多く含む食べ物として、牡蠣が有名です。他には、牛肉や豚肉などの赤身肉、卵、チーズ、ナッツ類などにも多く含まれています。
亜鉛を多く含む食品をバランス良く食事に取り入れることで、精子の健康の維持が可能です。夕食に豚肉の生姜焼き、朝食にチーズオムレツといったように、毎日の食事に亜鉛を多く含む食品を意識的に取り入れてみましょう。
ビタミンC
ビタミンCは、抗酸化作用があり、精子を酸化ストレスから守る働きがあります。酸化ストレスは、精子の質を低下させる原因の一つです。ビタミンCを多く含む食べ物は、以下のとおりです。
- 柑橘系の果物(レモンやオレンジ、いちごなど)
- キウイ
- ブロッコリー
- ベリー類
食後のデザートに取り入れたり、お弁当のおかずに入れたりすることで、手軽にビタミンCを摂取できます。ビタミンCは水溶性ビタミンなので、過剰に摂取しても尿として排出されるため、積極的に摂取しても問題ありません。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、精子の細胞膜の構成成分であり、精子の運動性を高める効果が期待されています。オメガ3脂肪酸は、鮭やマグロ、いわしやサバなどの魚介類に多く含まれています。魚が苦手な方は、亜麻仁油やえごま油などの植物性油からも摂取できますので、積極的に食事に取り入れてみてください。
夕食に焼き魚を食べる習慣をつけたり、サラダに亜麻仁油ドレッシングをかけたりするのもおすすめです。肉類に多く含まれるオメガ6脂肪酸は、過剰摂取すると炎症を引き起こす可能性があるため、オメガ3脂肪酸とバランス良く摂取することが重要です。
普段の食事に加えて、十分な水分を摂取することも、精液の質を保つために欠かせません。脱水状態は精液の濃度に影響を与える可能性があります。毎日の食事を見直し、精子の生成に役立つ栄養素をバランス良く摂取することで、精子の健康維持が期待できます。
不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事もあわせてご覧ください。
>>不妊症とは?原因・症状・検査・治療法まで妊娠のために知っておきたい基礎知識を解説
精子に関するよくある質問
精子量に関して多くの男性が抱く疑問や不安について、以下のよくある質問へ回答します。
- 精子量は年齢とともに減少する?
- サプリメントは効果ある?
- 精子量改善にはどのくらい時間がかかる?
精子量は年齢とともに減少する?
精子量は年齢とともに徐々に減少する傾向があります。男性の場合、35歳頃から精子の質と量が低下し始め、40歳を過ぎると減少速度が加速することが知られています。女性の卵子ほど急激ではありませんが、確実に影響があるため、妊活を考えている場合は早めの対策が重要です。年齢による変化として、以下が挙げられます。
- 精子濃度の低下
- 運動率の減少
- 正常形態精子の割合低下
- DNAの損傷増加
50歳を過ぎると、上記の変化がより顕著になり、妊娠率の低下や流産率の増加につながる可能性があります。ただし、年齢による影響には大きな個人差があり、40代や50代でも健康な精子を維持している男性も多くいます。
年齢による影響を最小限に抑えるためには、健康的な生活習慣の維持が重要です。規則正しい食事や適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理、禁煙・節酒などを心がけましょう。定期的な健康診断を受け、生活習慣病の予防や早期発見に努めることも大切です。
サプリメントは効果ある?
適切に選択されたサプリメントは精子量改善に一定の効果が期待できますが、万能ではありません。科学的根拠があるのは、以下の成分です。
- 亜鉛
- 葉酸
- ビタミンC
- ビタミンE
- コエンザイムQ10
- L-カルニチン
上記の成分は精子の製造や質の向上に関与するため、不足している場合には補給することを推奨します。ただし、サプリメントはあくまでも補助的な役割であり、基本的な生活習慣の改善が最も重要です。過剰摂取は逆効果になる場合もあるため、用法・用量を守ることが大切です。
市販のサプリメントを選ぶ際は、信頼できるメーカーの製品を選び、成分表示を確認しましょう。複数のサプリメントを併用する場合は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
精子量改善にはどのくらい時間がかかる?
精子量の改善には、一般的に2〜3か月程度の時間が必要です。精子の製造サイクルが約74日間かかるためで、生活習慣を改善してもすぐには効果が現れません。そのため、焦らずに継続的な取り組みが重要です。改善の程度や速度には個人差があり、原因や年齢、改善前の状態によって大きく異なります。
改善効果を確認するためには、定期的な精液検査が必要です。3か月ごとに検査を受け、数値の変化を追跡することで、取り組みの効果を客観的に評価できます。途中で効果が見られない場合でも、すぐに諦めずに医師と相談し、治療方針の見直しを検討しましょう。
まとめ
精子量が多い人は、健康的な生活習慣やストレス管理、禁煙・禁酒や睾丸の温度管理を適切に行っている傾向です。遺伝的要因も影響しますが、生活習慣の改善により、妊娠に十分な精子を作る効果が期待できます。精子の寿命は体外では数時間ですが、女性の体内では数日間生存可能です。
精子の質は量だけでなく、運動率や奇形率も重要です。健康的な生活習慣を維持することで質の低下を緩やかにすることが可能です。精子量の改善には、亜鉛やビタミンC、オメガ3脂肪酸を含む食品が役立ちます。栄養素を意識的に摂取しつつ、過剰摂取を避け、健康的な生活習慣を維持することで、子作りをスムーズに進められます。

参考文献
Chen Q, Yang H, Zhou N, Sun L, Bao H, Tan L, Chen H, Ling X, Zhang G, Huang L, Li L, Ma M, Yang H, Wang X, Zou P, Peng K, Liu T, Cui Z, Ao L, Roenneberg T, Zhou Z, Cao J. Inverse U-shaped Association between Sleep Duration and Semen Quality: Longitudinal Observational Study (MARHCS) in Chongqing, China. Sleep, 2016, 39(1), p.79–86