
ピル服用中でも子宮頸がんワクチン接種はできる?併用時の注意点・リスクを解説
公開日:2025.07.24更新日:2025.10.28
ピルを飲んでいても、子宮頸がんワクチン接種はできるのか、不安や疑問を抱く方がいます。ピルを服用中でも、子宮頸がんワクチンの接種は可能です。ピルとワクチンは、お互いへの影響が少ないとされており、医師の指導に従い予防を進められます。
この記事では、ピルとワクチンの気になる関係性や、接種前の具体的な注意点、ワクチンと検診を組み合わせた最適な予防法などを解説します。疑問を解消し、健康的な未来へ踏み出しましょう。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、子宮の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。
ピル服用中でもワクチン接種は可能
低用量ピルを服用しても、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種は可能です。ピルは、まれに血栓症(血の塊が血管をふさぐ病気)のリスクを高めます。日本産婦人科学会によると血栓症を起こす方は、年間1万人あたり3〜9人程度です。日本で使われている子宮頸がんワクチンに、血栓症のリスクを上げる医学的なデータは報告されていません(2024年現在まで)。
安心して接種を受けるためにも、接種前の問診で、ピル服用中であることを必ず医師に伝えてください。
ピルと子宮頸がんワクチン併用で起こること
ピルを服用中の方が子宮頸がんワクチンを接種する際に知っておくべき、以下を解説します。
- ワクチンがピルの避妊効果に与える影響
- ピルがワクチンの予防効果に与える影響
ワクチンがピルの避妊効果に与える影響
子宮頸がんワクチンとピルの効果が影響しない理由は、体の中での働き方が異なるためです。子宮頸がんワクチンは、体の免疫システムに働きかけ、抗体を作るのが目的です。ワクチンとピルは体の中で働く場所や仕組みが異なるため、お互いに影響しにくいです。
ワクチンの接種日も、ご自身の判断でピルの服用を中断せずに、医師の指示通りに内服を続けます。不安な方は、医師に相談したうえで内服のタイミングを図りましょう。
ピルがワクチンの予防効果に与える影響
ピルの服用が、子宮頸がんワクチンの予防効果に影響を与えた報告は、現段階でありません。ピルの働きは、血液中の女性ホルモン量を調整する作用があり、子宮内膜への作用が期待されます。ピルを服用している方にも、ワクチン接種で抗体を作る働きをします。
将来の子宮頸がんのリスク軽減が期待されるため、ピルを服用中の方もワクチン接種をご検討ください。
ワクチン接種前に知っておきたい4つの注意点
ワクチン接種を受ける前に、知っておきたい以下の注意点を解説します。
- 問診ではピル服用中であることを申告する
- ピルの服用周期・休薬期間に関係なく接種できる
- 接種当日の過ごし方を確認しておく
- 副反応が出た場合の対処法を把握しておく
問診ではピル服用中であることを申告する
ワクチン接種前の問診は、あなたの体を守るための大切な情報です。ピルを飲んでいる場合は、必ず医師に伝えてください。予診票内の質問には、飲んでいるピルの名前を記入しましょう。医師があなたの健康状態を正しく知り、接種できるか判断するための重要な情報です。
接種後に体調の変化があった場合、ピルを飲んでいることがわかっていれば、スムーズで適切な対応ができます。問診では、以下の情報を準備しておくと安心です。
- ピルの服用有無
- ピルの種類
- ピルを飲んでいる目的
- 他に飲んでいる薬やサプリメント
- アレルギーや持病の有無
- 過去の予防接種での体調不良
ピルを処方している医師と、ワクチンを接種する医師が違う場合もあります。両方の医師に、ピル服用中にワクチンを接種する内容を伝えておくと、二重チェックとなり安心して過ごせます。
ピルの服用周期・休薬期間に関係なく接種できる
子宮頸がんワクチンの接種タイミングは、ピルの周期や休薬期間にかかわらず、いつでも接種できます。体調が良い日に、接種の予約をすれば大丈夫です。ワクチンを接種する前に、ご自身の判断でピルの服用をやめたり、スケジュールを変えたりする必要はありません。ピルの服用リズムを崩さず、普段通りに続けることが大切です。
ホルモンバランスを整えるためにも、自己判断で服用を中断しないようにしましょう。
接種当日の過ごし方を確認しておく
ワクチン接種当日は、体をいたわることを心がけると、安心して過ごせます。以下のポイントを参考にして、接種前からリラックスできる環境を図りましょう。
- 服装:肩や腕を出しやすい、ゆったりとした服装を着用する
- ピルの服用:通常通り服用する
- 体調の確認:発熱や体調不良は連絡する
- 接種直後の安静:接種後30分程度は安静に過ごす
- 帰宅後の過ごし方:激しい運動や過度な飲酒は避ける
- 入浴:注射した部分を強くこすらない
接種後は、体を休めると決めて、リラックスして過ごすことが大切です。
副反応が出た場合の対処法を把握しておく
子宮頸がんワクチンに限らず、予防接種の後には「副反応」と呼ばれる症状が出る人がいます。副反応は、ワクチンによって体の中で免疫が作られている正常な反応です。以下の副反応が出る場合があります。
- 接種した場所の痛み・腫れ・赤み
- 発熱・頭痛・倦怠感
痛みが気になる場合は、清潔な濡れタオルや、タオルで包んだ保冷剤などで冷やすと緩和される場合があります。副反応は、接種後1〜3日程度で自然に軽くなる場合が多いです。長時間の症状継続や悪化、息苦しさやじんましんなど、普段と異なる症状を感じた場合は、早期に接種した医療機関やかかりつけ医に連絡してください。
子宮頸がん予防のために知っておきたい4つのポイント
子宮頸がんを予防するために知っておきたいポイントは、以下の4つです。
- ワクチンの種類
- 公費助成の対象
- ワクチン接種の費用
- 子宮頸がん検診との併用
ワクチンの種類
子宮頸がんの主な原因であるHPVには、200種類以上の型(タイプ)があります。子宮頸がんワクチンは、がんの原因になりやすい特定の型の感染予防を目的としたものです。現在、日本で接種できるワクチンは、防げるウイルスの型の数によって以下の3種類に分けられます。
- 2価ワクチン(サーバリックス®):16、18型
- 4価ワクチン(ガーダシル®):6、11、16、18型
- 9価ワクチン(シルガード®9):6、11、16、18、31、33、45、52、58型
子宮頸がんワクチンは、多くの型をカバーできる9価ワクチンが推奨されています。系統的文献レビューでは、ワクチン接種を国全体で進めている国々で、以下の結果が報告されました。
- 子宮頸がんの原因となるHPVに感染する人が減少
- がんになる手前の状態(前がん病変)と診断される人が減少
- 子宮頸がんを発症する人が減少
HPVに感染する可能性のある性交渉を経験する前の、若い方たちが接種することで、高い予防効果が期待できます。
ただし、「性行為未経験だから子宮頸がん検診は不要」と考える方も少なくありません。実際には未経験者でも検診を受けたほうが良い理由があります。以下の記事では、その背景や注意点について詳しく解説しています。
>>性行為未経験でも子宮頸がん検診は必要?受けるべき理由と注意点
公費助成の対象
子宮頸がんワクチンは、国や自治体が費用を負担する「公費助成」制度を利用すると、無料で接種できます。定期接種の対象は、小学校6年生から高校1年生に相当する年齢の女子です。対象年齢期間内に、3回の接種を完了させることが推奨されています。
接種に必要な書類(予診票やクーポン券)については、お住まいの市区町村の役所や保健所にご確認ください。
ワクチン接種の費用
ワクチン接種の費用は、公費助成の対象で変わります。公費助成の対象となる方は、無料でワクチン接種を受けられます。公費助成の対象とならない方は、自費接種で費用は全額自己負担です。接種費用は、医療機関やワクチンの種類によって異なります。
HPVの対象範囲が広い9価ワクチンは、他の種類に比べて費用が高くなる可能性があります。費用の目安は、1回2~4万円程度です。3回接種をした合計金額は、6~12万円程度です。自費接種は高額になりやすいため、接種を希望する場合は事前に医療機関へ費用を問い合わせください。
また、子宮頸がんの早期発見にはワクチン接種だけでなく、定期的な検診も重要です。以下の記事では、子宮頸がん検診にかかる費用や保険適用の条件、無料で受けられる場合の詳細について解説しています。
>>子宮頸がん検診の費用はいくら?保険適用・無料になる条件も解説
子宮頸がん検診との併用
ワクチン接種後も、定期的な子宮頸がん検診を受けてください。ワクチンですべての感染が防げなかったり、接種する前に感染したウイルスには効果が無かったりします。9価ワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPVの約80~90%はカバーできますが、100%の予防効果はありません。残りの10~20%のリスクに対して、検診との併用が重要です。
ワクチン接種前にHPVに感染している場合、既存の感染に対する効果は限定的とされています。子宮頸がんからご自身の体を守るためには、ワクチンと子宮頸がん検診の組合せに、予防効果が期待されています。20歳以上は、2年に1回子宮頸がん検診を受けましょう。
まとめ
ピルを飲んでいても子宮頸がんワクチンは接種可能とされており、現在の医学的見解では相互の効果への影響は少ないです。接種する際は、必ず予診票にピルを服用していることを伝えましょう。公費で接種できる定期接種は、年齢が決まっています。対象年齢の親御さんは、対象期間中に計画的な接種をサポートしてください。
自費になると高額になりやすいため、希望する方は接種する医療機関に相談しましょう。子宮頸がんから体を守るためには、ワクチンと子宮頸がん検診の組み合わせに予防効果が期待されています。子宮頸がんワクチンを接種した後も、定期的な検診を行い健康的な未来につなげましょう。
子宮頸がんを予防するには、ワクチンだけでなく継続的な検診が欠かせません。年齢やライフステージに応じて、どのくらいの頻度で検診を受けるべきかを知っておくことが大切です。以下の記事では、子宮頸がん検診の適切な頻度について年齢別に詳しく解説しています。
>>子宮頸がん検診はどのくらいの頻度で受けるべき?推奨される間隔と年齢
参考文献
- Harper DM, Navarro-Alonso JA, Bosch FX, Paavonen J, Stanley M, Sasieni P, Yébenes M, Martínez-Martínez N, Rodriguez A, García A, Martín-Gomez L, Vallejo-Aparicio L, Carrión H, Ruiz García Y.Impact of human papillomavirus vaccines in the reduction of infection, precursor lesions, and cervical cancer: A systematic literature review.Hum Vaccin Immunother,2025,21,1,p.2497608
- 公益社団法人 日本産婦人科学会:低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲスト―ゲン配合剤ガイドライン(平成27年)