
妊娠中の子宮頸がんワクチン接種は安全?知っておくべき影響や注意点
公開日:2025.07.24更新日:2025.10.28
妊娠中に子宮頸がんワクチンを接種しても問題ないのか、不安に思う方は多いです。妊娠中の子宮頸がんワクチン接種について、十分なデータがないため、厚生労働省やWHOは推奨していません。ワクチンが危険と証明されたわけではありませんが、妊婦は臨床試験の対象外であり、慎重な対応が求められます。
この記事では、妊娠中のワクチン接種について医学的根拠にもとづいた情報をお伝えします。出産後や授乳中に接種を再開できることや、公費助成のポイントも紹介します。子宮頸がんワクチンについて知り、自分に合った選択ができるように備えましょう。
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妊娠中に子宮頸がんワクチンが推奨されない理由
妊娠中の子宮頸がんワクチン接種が推奨されない理由について、以下を解説します。
- 胎児への安全性が十分に確認されていない
- 日本やWHOなどのガイドラインによる制限がある
胎児への安全性が十分に確認されていない
妊娠中にワクチン接種を控えるのは、胎児への安全性が医学的に確認されていないためです。子宮頸がんワクチンは不活化ワクチンに分類され、特徴は以下のとおりです。
- 生きたウイルスは含まれていない
- ウイルスの毒性をなくした成分を使用している
- 感染症を引き起こすリスクがない
薬やワクチンの効果、安全性を確認するために、科学的に検証する臨床試験が行われることがあります。胎児への影響を考慮し、妊娠中の方は臨床試験に参加できません。結果、胎児への安全性が確認されていないため、ワクチン接種は出産後が推奨されています。
日本やWHOなどのガイドラインによる制限がある
日本の専門機関だけでなく、世界的な機関も妊娠中の子宮頸がんワクチンの接種を推奨していません。主な専門機関は、以下のとおりです。
- 日本の厚生労働省
- WHO(世界保健機関)
- 米国CDC(疾病対策予防センター)
接種の途中で妊娠が判明した場合でも、過度に心配する必要はありません。一定の間隔が空いても、残りの接種は出産後に再開できる可能性があります。接種の再開のタイミングなどの詳細は、かかりつけ医に相談しましょう。
妊娠に気づかずワクチンを接種した場合の影響
妊娠に気づかずに子宮頸がんワクチンを接種した場合、以下のポイントについて解説します。
- 胎児や妊娠への影響を確認する
- 医師に相談して経過を見守る
胎児や妊娠への影響を確認する
子宮頸がんワクチンの接種が、胎児や妊娠の経過に悪影響を及ぼした医学的な報告はありません。安心できる根拠として挙げられる点は、以下のとおりです。
- 流産や死産のリスクが高まる証拠はない
- ワクチン接種による先天性異常の増加は確認されていない
- 将来の妊娠・出産への影響は報告されていない
妊娠に気づかず子宮頸がんワクチンを接種した場合でも、妊娠の継続に支障はないとされています。正しい情報にもとづいて、冷静に対応しましょう。
医師に相談して経過を見守る
妊娠中にワクチンを接種したことが判明した場合は、かかりつけの産婦人科医に相談することが大切です。受診時に伝える情報は、以下の3つです。
- ワクチンを接種した日付
- 接種したワクチンの種類(9価HPVワクチン、ガーダシルなど)
- 最後の月経の開始日
特別な治療や検査は不要で、通常どおりの妊婦健診の継続が推奨されます。残りのワクチン接種は出産後に再開するため、安心して妊娠期間を過ごしましょう。
子宮頸がんの早期発見には定期的な検診が重要です。以下の記事では、年齢別に適した検診の頻度やスケジュールについて詳しく解説しています。
>>子宮頸がん検診はどのくらいの頻度で受けるべき?推奨される間隔と年齢
接種の中断と再開について知っておくべきこと
子宮頸がんワクチンの接種の中断と再開について、以下を解説します。
- 再開のタイミング(出産後・授乳中)
- 接種間隔が空いた場合の対応
- 授乳中への影響
- 公費助成の対象期間
再開のタイミング(出産後・授乳中)
出産後の子宮頸がんワクチン接種の再開に、厳密な決まりはありません。再開時期の目安とポイントは、以下のとおりです。
- 産後1か月健診時:医師が直接健康状態を確認できる
- 育児が落ち着いてから:心身に余裕ができた状態で臨める
- 授乳期間中いつでも:胎児への影響はなく安心して接種できる
医師と相談しながら、無理のないスケジュールを立てましょう。
接種間隔が空いた場合の対応
妊娠や出産で、子宮頸がんワクチン接種の間隔が数か月〜1年以上空いた場合でも、中断したところから再開できます。接種再開の基本的な流れは、以下のとおりです。
- 1回目を接種
- 妊娠が判明して接種を中断
- 出産後に体調が整ったら2回目を接種
- 指定の間隔を空けて3回目を接種
ワクチンの種類(2価、4価、9価)が異なる場合も同様です。途中からでも接種を完了させることで、免疫の獲得が期待できます。
授乳中への影響
子宮頸がんワクチンは、生きたウイルスを含まないため、授乳中でも接種が可能です。副反応が現れる可能性があり、一般的な症状は以下のとおりです。
- 痛み
- 腫れ
- 赤み
- だるさ
- 頭痛
- 発熱
副反応が現れても、授乳をやめる必要はありません。発熱した場合でも、授乳中に使用できる解熱鎮痛薬があります。市販薬を自己判断で服用せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
公費助成の対象期間
子宮頸がんワクチンは、公費(無料)で接種できる制度があります。対象年齢を過ぎると自己負担になる場合があるため、自治体のホームページや窓口で対象期間を確認しましょう。
公費助成の期間や対応は、市区町村によって異なります。妊娠・出産による中断に対して、助成期間の延長を行っている自治体もあります。市区町村の予防接種担当課や保健センターに確認しましょう。問い合わせる際に伝える情報は、以下のとおりです。
- ご自身が現在、助成対象者である証明
- ワクチンの接種履歴(何回目をいつ接種したか)
- 妊娠や出産で接種を中断した事情
- 出産日または出産予定日
公費助成には期限があるため、早めに相談しましょう。
妊娠中・授乳期の子宮頸がんワクチン接種に関するよくある質問
子宮頸がんワクチンについてよくある以下の疑問を、解説します。
- ワクチンが不妊の原因になるって本当?
- ワクチンの種類によって影響は変わる?
- 妊娠中に接種できるワクチンと何が違うの?
- 接種後に副反応が出たらどうすればいい?
- 接種について不安なときはどこに相談すればいい?
ワクチンが不妊の原因になるって本当?
子宮頸がんワクチンが、不妊の原因になる科学的な証拠はありません。ワクチンによる子宮頸がん予防は、将来の妊娠や出産を守ることにつながります。がんが進行すると子宮の一部を切除し、妊娠に影響を及ぼす可能性があります。
研究によると、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)を早期発見すれば、治療可能であることが発表されました。ワクチンによって子宮頸がんを防ぐ効果が期待できるため、前向きに接種を検討しましょう。
ワクチンの種類によって影響は変わる?
現在、日本で主に使われているのは「9価HPVワクチン」ですが、以前は「2価」や「4価」のワクチンも使用されていました。ワクチンの数字は、予防できるHPVウイルスの型の数を表しています。妊娠中は接種を控える、授乳中は接種できるなどの方針は同じです。
ワクチンの種類を途中で変更する「交互接種」は推奨されていません。ワクチン接種を再開する際は、医師と相談し同じ種類で接種を完了させましょう。
妊娠中に接種できるワクチンと何が違うの?
子宮頸がんワクチンは「不活化ワクチン」のため、胎児に影響を与えることは少ないとされています。ワクチンの分類は、主に以下の2種類です。
- 生ワクチン
- 不活化ワクチン
生ワクチンは毒性を弱めたウイルスを使用していますが、胎児への影響が出る可能性があるため妊娠中の接種はできません。不活化ワクチンは、感染力をなくした成分を使用しているため、インフルエンザなど必要性が高い場合は接種可能です。
接種後に副反応が出たらどうすればいい?
接種後に見られる副反応は、免疫の働きによるもので一時的な可能性があります。よくある副反応は、以下のとおりです。
- 注射部位に起きる症状:痛み・赤み・腫れ・かゆみ・熱っぽさ
- 全身に起きる症状:だるさ・頭痛・関節や筋肉の痛み・発熱
冷たいタオルで注射部位を冷やすと、症状を軽減させる効果が期待できます。強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が出る可能性があるため、接種後30分ほどは医療機関で経過を見守ることが推奨されます。
性行為の有無に関わらず、子宮頸がん検診は重要です。以下の記事では、性行為未経験の方にも検診をおすすめする理由や、注意すべきポイントについて詳しく解説しています。
>>性行為未経験でも子宮頸がん検診は必要?受けるべき理由と注意点
接種について不安なときはどこに相談すればいい?
子宮頸がんワクチンの接種に不安を感じたときは、医療機関や公的な相談窓口に確認しましょう。主な相談先と受けられる相談内容は、以下のとおりです。
- 接種を受けた医療機関:体調に合わせたアドバイス
- かかりつけの産婦人科医:妊娠・出産・授乳のことを含めた相談
- 市区町村の予防接種担当窓口:公費助成の手続きや制度
- 厚生労働省の相談窓口:ワクチンに関する一般的な情報
アフリカのウガンダでは、女子学生の子宮頸がんの情報源は「友人」であると報告されています。注意が必要な情報源は、以下のとおりです。
- SNSの情報
- 友人からの又聞き情報
- 医学的根拠のない情報
現代ではさまざまな情報があふれていますが、公的機関が発信する情報を確認しましょう。信頼できる情報源から、サポートを受けることが重要です。
まとめ
妊娠中の子宮頸がんワクチン接種は、胎児への影響が明確化されていないため、推奨していません。妊娠に気づかず接種した場合は、過度に心配せず、かかりつけの産婦人科医に相談し、通常どおりの妊婦健診を受けましょう。
出産後はいつでも接種を再開でき、中断した時点から残りの接種を完了させることで、免疫の獲得が期待できます。一定の年齢まで公費(無料)で接種できる制度があり、妊娠・出産などによる中断に対して救済措置を設けている自治体もあります。不安や疑問がある場合は、以下の機関に相談しましょう。
- 接種を受けた医療機関
- かかりつけの産婦人科医
- 市区町村の予防接種担当窓口
- 厚生労働省の相談窓口
ワクチンの接種によって、子宮頸がんを防ぐ効果が期待できます。正確な情報にもとづいて、医師と相談しながら接種を検討しましょう。
以下の記事では、子宮頸がん検診を受ける際に気になる「費用」や「保険適用の条件」、「無料で受けられるケース」について詳しく解説しています。受診前に知っておきたい経済的なポイントを押さえておきましょう。
>>子宮頸がん検診の費用はいくら?保険適用・無料になる条件も解説
参考文献
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