
妊活を始めたらお酒はやめるべき?アルコールが妊娠に与える影響と対策を医師が解説
公開日:2025.07.19更新日:2026.01.30
「赤ちゃんが欲しいけど、お酒ってどれくらいまで飲んでいいの?」アルコールの代謝能力には個人差があり、少量の飲酒であっても胎児に影響を与える可能性があります。FASDのリスクを避けるためには、妊娠中や妊娠の可能性がある時期には、アルコールを摂取しないことが望ましいです。
この記事では、妊活中のお酒の影響や、上手な付き合い方について具体的に解説していきます。赤ちゃんを守るため、あなたの妊活を成功させるためにも、正しい知識を身に付け、お酒との付き合い方を見直しましょう。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、妊娠の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

【結論】妊活中の飲酒は控えるべき
妊活中の飲酒は可能な限り控えることを強く推奨します。アルコールは女性の排卵機能や男性の精子の質に悪影響を与える可能性があり、妊娠に気づく前の飲酒が胎児に影響するリスクも無視できません。「安全な飲酒量」を科学的に確定することは困難であり、個人差も大きいためです。
男性についても、精子の質を最良の状態に保つためには、飲酒習慣の見直しが必要です。ただし、完璧を求めすぎてストレスを感じる必要はありません。大切なのは、赤ちゃんを迎える準備として夫婦で協力し、できる範囲から生活習慣を改善していくことです。
妊活前に知っておきたい!お酒と妊娠の基礎知識
妊活前に知っておきたい、お酒と妊娠に関する以下の内容を解説します。
- アルコールが体内に与える影響
- 妊娠しやすい体づくりとアルコールの関係
- 男性の妊活における飲酒の注意点
アルコールが体内に与える影響
アルコールは女性の排卵機能や男性の精子の質に悪影響を与える可能性があります。お酒を飲むと、肝臓で分解される際に有害物質が発生し、ホルモンバランスを乱したり、細胞にダメージを与えたりするためです。女性への影響として、以下が挙げられます。
- 月経周期の乱れ
- 排卵障害
- 妊娠までの期間が長くなる
アルコールによる男性への影響は、以下のとおりです。
- 精子の運動率低下
- 精子数の減少
- 精子の質の悪化
実際に、毎日お酒を飲む習慣がある女性は、飲まない女性と比べて妊娠までの期間が長くなるという研究報告があります。男性も週に14単位以上(ビール約7本分)の飲酒で精子の質が低下するとされています。妊娠しやすい体づくりのためには、適度な飲酒量を心がけることが重要です。
妊娠しやすい体づくりとアルコールの関係
適度な飲酒は妊娠率に大きな影響を与えませんが、過度な飲酒は妊娠しにくい体質を作る可能性があります。アルコールは体内の重要な栄養素の吸収を阻害し、妊娠に必要な栄養状態を悪化させるためです。栄養面については、以下の影響が生じることがあります。
- 葉酸の吸収阻害(胎児の神経管閉鎖障害予防に重要)
- ビタミンB群の利用効率低下
- 鉄分など妊娠に必要なミネラルの吸収不良
生活リズムへの影響として、以下のことが考えられます。
- 睡眠の質の低下
- 成長ホルモンの分泌減少
- 卵子の質向上に必要なホルモンバランスの乱れ
例えば、葉酸は胎児の先天性疾患を予防する重要な栄養素ですが、アルコールの摂取により体内での利用効率が下がってしまいます。妊娠しやすい体づくりには、栄養バランスと生活リズムを整えることが大切です。
以下の記事では、妊活における葉酸の具体的な効果や、どのような食品から摂取すべきかについて医師監修のもと詳しく解説しています。妊娠を希望する方にとって必見の情報です。
>>【医師監修】妊活に葉酸が必要なのはなぜ?効果やおすすめの食べ物を解説
男性の妊活における飲酒の注意点
男性の飲酒も精子の質に直接影響します。そのため、妊活中は夫婦で飲酒習慣を見直しましょう。精子は約74日間かけて作られるため、男性の今の生活習慣は2〜3か月後の精子の質に影響することを覚えておきましょう。
アルコールの過剰摂取は精子のDNAにダメージを与え、受精率の低下や流産のリスクが増加する可能性があります。継続的な大量飲酒は、精子を作る能力そのものを低下させてしまうため、特に注意が必要です。妊活は女性だけが頑張るものではありません。
男性も妊活の重要なパートナーとして、お酒との付き合い方を見直し、適度な飲酒を心がけることが大切です。夫婦で一緒に生活習慣を改善することで、より効果的で楽しい妊活ができるようになります。
以下の記事では、妊活中に気になるカフェインの影響について、着床率や胎児へのリスクを中心に、摂取量の目安や控えるべき理由を詳しく解説しています。妊娠を希望する方は、あわせてチェックしておきたい内容です。
>>妊活中はカフェインを控えたほうがいい?着床率や胎児への影響を徹底解説
妊活中の飲酒が引き起こすリスク
妊活中の飲酒が引き起こす具体的なリスクとして、以下の4つを解説します。
- 流産
- 早産
- 低体重
- 発達障害
- 胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)
妊活中のお酒との付き合い方について、一緒に考えていきましょう。
流産
妊活中の飲酒は流産のリスクを高める可能性があります。アルコールは胎盤を通過して胎児に直接影響を与えるため、妊娠初期の重要な器官形成期間中の飲酒は特に危険です。
妊娠に気づく前の飲酒も影響する可能性があります。妊活を始めた時点で飲酒習慣を見直すことが重要です。特に妊娠初期は胎児の神経系や心臓などの重要な器官が形成される時期なので、この期間の飲酒は避けるべきです。禁酒が難しい場合、医師と相談しながら段階的に減らしていきましょう。
早産
妊娠中の飲酒は早産(妊娠37週未満での出産)のリスクを高めます。アルコールは子宮収縮を引き起こし、胎盤の機能を低下させるため、正常な妊娠期間を維持することが困難になる可能性があります。早産で生まれた赤ちゃんは、肺や他の臓器が未熟なため、呼吸困難、感染症、脳出血などの深刻な合併症を起こすリスクが高まります。
早産は新生児集中治療室(NICU)での長期入院が必要になることが多く、赤ちゃんだけでなく家族にも大きな負担です。将来的にも、学習障害や発達遅延のリスクが高まる可能性があります。妊活中からの完全な禁酒により、早産のリスクを予防できる可能性があります。
低体重
妊娠中の飲酒は胎児の成長に悪影響を与え、低出生体重児のリスクを高めます。アルコールは胎児への栄養供給を阻害し、正常な体重増加を妨げる可能性があります。低出生体重(2,500g未満)で生まれた赤ちゃんは、感染症にかかりやすく、呼吸困難や体温調節の問題を抱えやすくなります。
妊娠中期から後期にかけての継続的な飲酒は、特に胎児の体重増加に深刻な影響を与えます。週に1〜2回の軽度な飲酒でも影響する可能性があるため、妊活中から完全な禁酒を心がけることが大切です。赤ちゃんの健康な成長のために、栄養バランスの良い食事とともに、アルコールを控えた生活を送りましょう。
発達障害
妊娠中の飲酒は、胎児の脳の発達に深刻な影響を与え、発達障害のリスクを高めます。アルコールは胎児の脳細胞の成長を阻害し、神経系の正常な発達を妨げる可能性があります。飲酒による発達障害として、以下が挙げられます。
- 知的障害
- 学習障害
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 自閉症スペクトラム障害
どの障害も生涯にわたって続くため、予防が極めて重要です。特に妊娠初期の8週間は脳の基本構造が形成される重要な時期で、この期間の飲酒は特に危険とされています。わずかな量でも胎児の脳発達に影響する可能性があるため、妊活を始めたら完全な禁酒を心がけましょう。
胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)
FASDとは、妊娠中にお母さんが飲酒することで、赤ちゃんにさまざまな障害が起こることを言います。お母さんが妊娠中に飲酒しなければ、防ぐことができる障害です。FASDの特徴は、以下のとおりです。
- 低身長・低体重
- 顔つきが特徴的(目が小さく、鼻筋が通っていない)
- 学習障害
- 多動性
- 注意欠陥
上記の症状は、成長の過程で症状が目立ちにくくなることもありますが、完全に消えるわけではありません。FASDは、身体的な特徴だけでなく、目に見えない部分にも影響を及ぼします。相手の気持ちを理解したり、自分の気持ちを伝えたりすることが難しく、対人関係に苦労することがあります。
些細なことで激しく怒る・泣くなど、感情のコントロールが難しいです。アルコールの代謝能力には個人差があり、少量の飲酒であっても胎児に影響を与える可能性があります。FASDのリスクを避けるためには、妊娠中や妊娠の可能性がある時期には、アルコールを摂取しないことが望ましいです。
妊活中のお酒に関する具体的な対策
妊活中のお酒に関する具体的な対策は、以下のとおりです。
- 飲酒量を減らす
- ノンアルコール飲料を楽しむ
- ストレスを溜めない方法を見つける
飲酒量を減らす
妊活中でもお酒を完全に止めるのが難しい場合、無理のない範囲で、少しずつ飲酒量を減らしていくことが大切です。週に何回お酒を飲んでいるか、一回でどれくらい飲んでいるかを記録しましょう。自分がどれくらいお酒を飲んでいるのかを把握することで、減らすべき量が見えてきます。
ビールなら中瓶1本(500ml)を350mlに減らしたり、週に3回飲んでいる人は2回に減らしたり、できることから始めてみましょう。
ノンアルコール飲料を楽しむ
最近では、ノンアルコールビールやノンアルコールワインなどもたくさんあります。お酒を飲んでいる気分を味わいながら、飲酒量を減らすことができるのでおすすめです。ジュースやお茶など、ノンアルコール飲料も積極的に試しましょう。
ストレスを溜めない方法を見つける
妊活中は、ストレスを溜めないようにすることが大切です。軽い運動やヨガ、好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするのもおすすめの方法です。自分にとってリラックスできる方法を見つけて、ストレスを上手に発散しましょう。
パートナーと協力して妊活する方法
新しい命を授かるには、パートナーの協力が不可欠です。パートナーと協力して妊活する方法は以下のとおりです。
- パートナーへ妊活における飲酒の影響を伝える
- 周囲のサポートを得る
- 専門家へ相談する
妊活はデリケートな問題だからこそ、パートナーとも向き合いましょう。
パートナーへ妊活における飲酒の影響を伝える
パートナーにお酒を控えてもらうように伝える際は、無理な禁酒の強制ではなく、協力をお願いする形で伝えることが大切です。「赤ちゃんが欲しい」という希望を共有しながら、飲酒の影響について具体的に説明し、一緒に妊活を進めていく姿勢を示しましょう。
そのうえで「一緒に協力して、赤ちゃんを迎えたい」という気持ちを、率直に伝えてみてください。「アルコールが妊娠に与える影響」について説明することも大切です。FASDのリスクが高まることも、パートナーに理解してもらう必要があります。
「お酒を減らせば、精子の質が向上する可能性がある」「妊娠しやすい体作りにつながる」など、前向きな言葉で伝えるように心がけましょう。

周囲のサポートを得る
妊活中は、周囲の理解とサポートが大きな支えになります。信頼できる友人や家族に、状況に応じて相談してみましょう。一人で抱え込まずに、気持ちを打ち明けてみることも大切です。周囲に相談しづらい場合は、専門機関を利用するのも一つの方法です。
不妊治療専門のクリニックや、妊活サポート団体など、相談できる窓口はたくさんあります。専門家のアドバイスを受けることで、不安や悩みを軽減できる可能性があります。
以下の記事では、妊娠の確率を高めるための「妊活のベストタイミング」について、排卵日との関係や実践的なタイミング法などを医師の視点でわかりやすく解説しています。計画的に妊活を進めたい方におすすめです。
>>妊活のベストタイミングはいつ?成功率を上げるコツを医師が解説
専門家へ相談する
正しい情報を得るためには、専門家に相談するのが一番です。婦人科や産婦人科の医師に相談することで、個別の状況に合わせたアドバイスを受けることができます。パートナーと一緒に相談に行くことで、お互いの理解を深め、より良い妊活を進められます。妊活は、焦らずマイペースに進めていくことが大切です。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、妊活に強みを持つクリニックです。妊活について何もわからない状態でもお気軽にご相談ください。
妊活中のお酒に関するよくある質問
妊活中のお酒に関するよくある質問として、以下の4つを解説します。
- 妊活開始前の飲酒は赤ちゃんに影響する?
- ノンアルコール飲料なら妊活中でも安全?
- パートナーだけ禁酒すれば問題ない?
- 妊活中に飲酒してしまった場合はどうすればいい?
妊活開始前の飲酒は赤ちゃんに影響する?
妊活を始める前の飲酒が、直接赤ちゃんに影響することはほとんどありません。ただし、アルコールが体から完全に抜けるまでには時間がかかるため、妊活を始める1〜2か月前から飲酒量を徐々に減らすことをおすすめします。特に注意したいのは、妊娠に気づく前の期間です。
妊娠は計画通りにいかないことが多く、予想より早く妊娠する可能性もあります。胎児の重要な器官は妊娠初期の2〜8週に形成されるため、この時期の飲酒はリスクを伴います。そのため、妊活を決意した時点で生活習慣の見直しを始めることが理想的です。
ノンアルコール飲料なら妊活中でも安全?
ノンアルコール飲料は妊活中でも基本的に安全です。日本の法律では、アルコール度数1%未満の飲料がノンアルコール飲料として販売されており、微量のアルコールが含まれていても妊活や妊娠に影響するレベルではありません。
商品によっては、完全にアルコールが0%のものと、0.5%程度含まれているものがあります。より安心したい方は、完全にアルコールフリーの商品を選びましょう。ノンアルコール飲料でも糖分が多く含まれているものもあるため、妊活中の体重管理の観点から飲みすぎには注意が必要です。
お酒の代替品として上手に活用し、妊活中のストレス軽減に役立てましょう。
パートナーだけ禁酒すれば問題ない?
妊活は夫婦で協力して取り組むものなので、女性だけでなく男性の飲酒習慣も見直すことが大切です。男性の過度な飲酒は精子の質に悪影響を与え、妊娠率の低下や流産リスクの増加につながる可能性があります。
パートナーだけが禁酒や減酒をしている状況は、精神的な負担やストレスの原因にもなります。夫婦で一緒に生活習慣を見直すことで、お互いを支え合いながら妊活に取り組むことができ、より楽しい妊活が実現できます。
妊活中に飲酒してしまった場合はどうすればいい?
妊活中に飲酒してしまっても、過度な心配はいりません。一度の飲酒で必ず妊娠に悪影響があるわけではなく、むしろ罪悪感やストレスの方が妊活に悪影響を与える可能性があります。飲酒してしまった場合は、まず十分な水分補給をして体からアルコールを早く排出させましょう。
翌日からは規則正しい生活を心がけ、栄養バランスの良い食事や適度な運動で体調を整えることが重要です。完璧を求めすぎず「今日からまた頑張ろう」という前向きな気持ちで妊活を続けることが大切です。不安が強い場合は、医師や助産師に相談しましょう。
まとめ
妊活中のお酒は、少量であっても胎児に影響を及ぼす可能性が否定できないため、可能な限り控えることが推奨されます。ただし、飲酒の頻度や量による影響には個人差があるため、具体的な指導が必要な場合は専門家に相談しましょう。
特に、妊娠初期の飲酒は胎児の発育に大きな影響を与える可能性があり、胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)の発症リスクが高まる可能性があります。そのため、妊娠の可能性がある場合や妊娠中は、アルコール摂取を控えることが重要です。パートナーと協力し、飲酒の危険性を理解し、妊娠しやすい体作りを目指しましょう。
妊活を始めた方の中には「不妊症」のことも気になっている方もいるのではないでしょうか。不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事もご覧ください。
>>不妊症とは?原因・症状・検査・治療法まで妊娠のために知っておきたい基礎知識を解説

参考文献
- Le Daré B, Lagente V, Gicquel T. Ethanol and its metabolites: update on toxicity, benefits, and focus on immunomodulatory effects. Drug metabolism reviews 51, no. 4 (2019): 545-561.
- Dazhi Fan, Li Liu, Qing Xia, Wen Wang, Shuzhen Wu, Guo Tian, Ying Liu, Jing Ni, Song Wu, Xiaoling Guo, Zhengping Liu.Female alcohol consumption and fecundability: a systematic review and dose-response meta-analysis.Sci Rep,2017,7,1,p.13815