ソフィアレディスクリニック

卵菅采(さい)癒着(30歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

子宮外妊娠になり薬物療法を経て造影検査したら卵管が通っていませんでした。 しかも治療してない片方も…卵管采(さい)癒着だそうです。 先生には半年経ったら通る可能性も低い確率であるかもと言われました。 もう自然妊娠できませんか?

癒着の原因は何でしょうか?自然妊娠は難しいと思われますので、腹腔鏡検査か体外受精に早めに進むのも選択肢の一つでしょう。

私たちの経験からは子宮外妊娠を経験した患者さんの血液中のクラミジア抗体を調べたところ50%は陽性でした。 すなわち子宮外妊娠の起こる前にすでに5割の方はクラミジア子宮頚管炎から、子宮内膜を経て、卵管から更に炎症が腹膜に到達する骨盤腹膜炎にかかっていた可能性があったということです。 クラミジア感染の問題点はクラミジアそのものは、それほど強力な菌ではないのに治癒する過程で卵管や腹膜に癒着を残しやすい事で、しかも両側の卵管がやられる事が多く、これが後に子宮外妊娠を繰り返す原因とも考えられます。 術後の卵管造影でも通過性がないと言う事は、すでに癒着が出来上がっている可能性が大きいと推定されます、このように卵管采に癒着を作ると、卵管は通過障害や、卵を取り入れる機能(ピックアップ機能)を失います。 まずクラミジア抗体検査を受けて陽性なら念のため抗生剤による治療を受けておいたほうがよいと思います。 特にIG-A抗体がプラスの時には最近の感染である可能性がありますので必ず予防的な治療を受けましょう。 また卵管采の癒着が疑われると言う事であれば、腹腔鏡での検査治療も選択肢としてあります。 子宮卵管造影で卵管閉塞と診断されても、実際肉眼で観察できる腹腔鏡下では2割ぐらいは癒着がない場合もあり、卵管閉塞の診断では画像診断である子宮卵管造影法は必ずしも最終診断法ではありません。 しかも幸いな事に腹腔鏡手術は卵管采の癒着剥離手術は特に得意とするところなので、観察と同時に剥離手術も可能ですので、体外受精に進む前に行ってもよいでしょう。 ただこの癒着は放置すれば月日と供に強固になる可能性があり、待機するだけで自然によくなる可能性はほとんどありませんので、妊娠を目的にしてタイミング療法だけで自然妊娠を期待するのは無理でしょう。 いずれにしてもきちんと検査を受け、早めに治療のステップアップを考慮したほうがよいと思います。

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