人工授精について(32歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

結婚して7年になりますが子供はまだできません。 結婚当初は性交渉をしていたのですが、もともと私は性交渉があまり好きではなく苦痛にしか思えないのですが、子供は欲しいと思っています。 病院で人工授精だけでもしてもらえるのでしょうか?

人工授精は可能です。しかし必ず不妊症の 最低限の検査は必要ですので、まず基本的な検査(子宮、卵管、卵巣に異常がない事)を受けましょう。

配偶者間人工授精(以下AIHと略)は子宮・卵巣・卵管などに明らかな不妊原因がない場合に行われます。 まず男性精子の状態がよくない場合(精子の数が少ない、運動率が低い、抗精子抗体を有している)など、またフーナーテストで陰性(精子が粘液中に存在しない時)、勃起不全や射精障害があったり、女性側が膣狭窄などで性交できない場合や、特に原因がはっきりしない機能性不妊などに行われます。 方法は妊娠を目的に人工的に精子を女性の性管内(膣内、子宮頚管、子宮腔など)に注入して、確実に精子を卵子に到達させようとする方法で、精子を一度体外に取り出してから注入するので精子を選んだり・洗浄・濃縮などのさまざまな操作が可能になります。 通常精子は子宮腔内に注入する場合が多いのですが膣内、子宮頚管内、卵管や腹腔内に直接入れる場合もあります。 この方法は受精・卵分割・着床などすべてが自然妊娠と同様に女性の体内で行われるので、排卵がない場合や卵管が詰まっていたり、卵管采が卵子を取り入れられない場合(ピックアップ障害)、受精卵が出来ない(受精障害)、受精卵画途中出で発育を停止する、子宮内に着床できないなどが存在しないことが前提となります。 実施日は排卵日にあわせて行うので、超音波での卵胞計測や尿中ホルモン(LH)測定などで排卵日を予測したり、確実にコントロールするためにHCGの注射をして排卵の時間を合わせる方法もよく行われます。 実際には採取された精子はそのまま子宮内に入れてもほとんど受精能力がないので、パーコル液による精漿の除去やスイムアップ、スイムダウンなどで良好の運動精子を集めて使用します。 0.5ccぐらいに調整して、子宮内に静かに注入し数十分間安静に仰臥させます。 術後は感染を防ぐために抗生剤を投与し、数日後にタイミングがあっていたか否かを確認します。 副作用としては出血、痛み、感染がありますが、特に感染は後遺症を残す事もあるので警戒が必要でしょう。 AIHの有効性は5~6回までと言われ、1回当たりの妊娠率は10%前後です。AIH6回までに妊娠できない時には、体外受精などへの治療のステップアップも考慮すべきでしょう。