子宮外妊娠の連続しますか?(30歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

子宮外妊娠で卵管温存手術をしました。 1年前にも同じ場所あたりで妊娠して自然流産して今回の手術に至ります。 妊娠2回とも子宮外妊娠だったことで3回目も子宮外妊娠になるんじゃないかと不安です。 やっぱり確率的には続く場合あるのでしょうか?

子宮外妊娠は継続的に発生する可能性があります。原因を検討する事が必要です。

受精卵が子宮内腔以外のところに着床するのが子宮外妊娠です。 その部位によって卵管妊娠、頚管妊娠、卵巣妊娠、腹膜妊娠などに分けられますが95%は卵管での妊娠で、そのうちの大部分は卵管膨大部と言われる受精の起こる部位で起こります 。子宮外に着床する原因としては骨盤内炎症や卵管炎が多く、特に最近では過去のクラミジア感染に寄る、卵管炎や卵管周囲炎の後遺症(癒着や狭窄)から発生する事が少なくないと考えられています。 また体外受精は卵管を使用しないので子宮外妊娠はおきにくいと考えられがちですが、実際には体外受精でも子宮内腔に置いたはずの受精卵が卵管内に逆送して着床、子宮外妊娠を起こす事はよく知られています。 また発生が珍しいと考えられている、内外同時妊娠(子宮内と卵管の2箇所に同時に着床する事)も複数卵を移植する体外受精ではその頻度も自然妊娠の発生と比較すると増えています。 また今回のように前回に卵管を温存するような保存手術を行った場合には、同じところに再度着床して、子宮外妊娠となる場合も少なくありません。 そのため子宮外妊娠を繰り返した時には、妊娠のために体外受精を選択する事を前提として、次回の子宮外妊娠と、卵管水腫を避けるために子宮と卵管の連絡部(狭部)で結紮して、卵が卵管側に通過しないように予防的手術を行う事もあります。 子宮外妊娠の発生は0.5%から1%と言われていますが、最近では体外受精などの特殊不妊治療でその頻度も増加しています。 超音波診断が発達したために妊娠5週に入ると胎嚢が見られないことより早期診断されることが多くなりましたが、初期で未破裂で発見された時には、質問者のように保存手術(線条切開)を行ったり、MTXのような薬物で絨毛細胞を消すために行われた保存手術は、その後に反復して子宮外妊娠が発生して再手術の可能性は高くなるともいえます。 いずれにしても一度子宮外妊娠を起こした時には、緊急度、全身状態、妊娠部位、HCG値、胎児心拍の有無、などによりますが、不妊症や以後に挙児希望のある場合にはこのような卵管保存手術療法、薬物療法などの待機療法を選択することも多いので、再度の子宮外妊娠を避けるためにも、それ以降の不妊治療を考慮して主治医とよく相談して治療法を決定する必要があります。