現在、不妊治療に通っています。

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

子宮卵管造影検査で弓状子宮だということがわかりました。 妊娠したときは流産しやすいのですか?

人間の子宮も胎児期の発生時には2つにわかれています。奇形の形状と程度により流産の危険性は異なりますが弓状子宮は流産の危険はほとんどありません。

子宮奇形はなぜ起こるのでしょうか?哺乳動物の子宮のうち特に人間の場合には、もともと母親の胎内で成長する時には2つの子宮原基(ミューラー管)が結合して一つの袋(子宮)として存在するようになっています。 したがって出生後も体内にそのまま重合せずに2つの子宮を有する哺乳動物は数多くあり人間のように1つしかないのは少数派です。 子宮奇形の起こる原因は、 ミューラー管の発育停止による先天異常、 発育途上の異常 2つのミューラー管の中央部での癒合が上手くゆかなかったとき などがあります。 アメリカでは一時流産予防に使われたある種のエストロゲン(ジステールベステロール)によるT字型子宮が発生したこともありましたが現在はこの薬剤は使用されず、幸い日本では未使用でしたのでこのタイプは存在しません。 全体的に臨床的には子宮奇形がある女性の25%には流産死産、骨盤位などの位置異常,周産期死亡や月経困難症、性交痛などの症状が見られますので注意が必要です。 診断は子宮卵管造影法や子宮のMRI検査,超音波断層診断などで行われます。実際よくみられる子宮奇形のタイプは 重複奇形:子宮が別々に2つあり、妊娠してから早産、逆子などの位置異常が起こりやすくなる。 双角子宮:子宮口が1つで卵管とつながる子宮角が2つあり、このタイプは頻度が多く妊娠経過はほぼ正常だが早期流産、早産、位置異常が多い。 中隔子宮:中央部が遺残したタイプで不妊原因にはならないが流産を繰り返す不育症を起こす。 弓状子宮はこのタイプのもっとも軽症のもので、子宮底が弓のようにやや膨らんでいるためにこのように呼ばれるが、実際にはほとんど妊娠の成立や継続には影響がないと考えられています。 このように子宮に奇形があると正常子宮とくらべて妊娠しにくかったり、流産しやすくなる原因として推定されているのは、奇形の癒合不全の部分の血流が悪くなるために着床しにくかったり、流産しやすいと推測されており、流産を繰り返した時には子宮鏡や開腹で手術を行い、正常子宮の形状に修復することによって流産を防ぐことができます。