排卵は何歳頃まで?(33歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

12歳の時に、卵巣濃腫で右卵巣を摘出しました。その後、毎月の生理は規則正しくありますが排卵は何歳頃まであるのでしょうか? まだ数年は結婚・妊娠をする予定はありませんが、排卵がいつ頃まであるか不安です。将来的に出産したいです。可能であれば卵子の冷凍保存をしたいと思っています。

個人差はありますが、人の排卵回数には限りがあります。また生理がきちんとあることは排卵しているという十分な証拠とはなりません。

この問題は個人差も大きく一人ひとり背景が異なるために適格な答えは困難ですので、一般的な見解を述べてみます。 現在初経の開始の平均年齢が12歳ぐらい、閉経の平均年齢が50歳ぐらいといわれています。 この間に排卵は起こっているのですが思春期や前閉経期は無排卵性月経(生理はあるが排卵はない状態)であることが多いので、回数から言うと人間が排卵するのは一生のうちで400回ぐらいです。 すなわち一人の女性が妊娠できる可能性のある回数は一生のうち最大400回ということであり、未婚や避妊で妊娠しないようにしている時期もあり、不妊原因のない夫婦間でも排卵日にきちんと性交しても受精・着床する可能性は3回に1回と考えられていますので、実際に妊娠できる排卵回数は非常に限られていると考えられます。 しかも年齢とともに妊孕率(妊娠できる可能性)は低下しますので排卵があることがイコール妊娠できるという保証にはなりません。 しかも閉経を左右する因子が種々ありたとえば喫煙は閉経を早くするもっとも大きな要素であり人種や住環境の変化、未産婦は経産婦より閉経が速くなるなどが知られています。 すなわち閉経までは排卵の可能性はあるわけで、理論的には50歳前後までは排卵はあることなります。 しかし実際の不妊治療の成績よりみても、一回の体外受精法での20代の妊娠確率は50%あるのに40代ではわずか8%になります。 この理由としては卵巣での原始卵胞(成熟卵の元)が数的に減少すること、染色体的に異常卵が増加すること、受精する可能性のある成熟卵が減少することなど、卵の数のみならず、その質も変化するからです従来の研究からは、40歳までは女性の妊孕力はあまり低下しないが、以後は急激に妊娠しなくなり、また排卵できても自然流産や胎児の喪失頻度が増加することが判明しています。 したがって排卵があれば妊娠できるのではなく、質の良い卵が排卵されているうちに妊娠することが最良の策と考えられます。 経験的には女性では35歳まではの妊孕力はほぼ保たれますが、37歳ごろより急激に卵巣機能やその予備力は低下します。 すでに述べたように40歳以上ではたとえ排卵があってもその質的問題より妊孕力は極度に低下します。 このことから考えろと、社会的因子や、経済的因子なども考慮して、35歳までに妊娠分娩を終了するのが最も良い方策ですが、少なくとも40歳までには終了しておくことが医学的には望まれます。 なお卵巣組織の凍結や未受精卵の凍結も行うことができますが技術的にはまだ問題点も多く、倫理的な束縛もあるようです。 手術的に片方の卵巣は摘出されていますが、1つの卵巣でも十分補充できますのでこの点は問題ありません。