子宮筋腫と言われて(32歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

不妊治療を始めようと内診を受けたところ、子宮筋腫が3つも発見されました。 大きさは3cmくらいと言われました。摘出手術はしなくていいと言われましたが不安です。 どの位の大きさから摘出しなければならないのでしょうか。 不妊の原因にもなるのでしょうか。

不妊と子宮筋腫は色々な意見がありますが、多くはその筋腫が子宮のどこに存在するかにかかっています。

子宮筋腫とは子宮にできる良性腫瘍の中で最も多く、生殖年齢の女性の25~30%にみられるといわれていますので、罹患頻度の高い女性の病気と考えられています。 子宮筋腫があっても症状に乏しいことも多いのですが、時に不正出血、下腹痛、月経痛,過多月経などの症状から発見されることもあります、子宮のどの部分に筋腫が発生したかにより奬膜下筋腫,筋層内筋腫、粘膜下筋腫に分類されます。 子宮筋腫があっても普通に妊娠し分娩する方は少なくありません、特に不妊と関係する子宮筋腫はその発生した部位によるとの報告が多くみられます。 まず子宮筋腫があるとその部位の子宮内膜が筋腫の圧迫で血液の流れが悪くなり〔血行障害〕卵が着床しにくくなること〔着床障害〕が起こるために間接的に子宮の環境を悪化させて着床や、胚発育に悪影響を与えている可能性があります。 またほかの原因として考えられるのが、子宮筋腫が存在することで正常の子宮筋の収縮や、卵管の蠕動運動〔卵を卵管から子宮内に送り込むための作用〕を阻害するために子宮内腔から卵管へ向かう精子が減少したり、卵管が受精卵を送る機能が低下したりするいわゆる移送障害がみられたりすることが原因と推察されています。 ある報告によると子宮筋腫がある不妊患者では自然妊娠率が11%で、対照の、M筋腫を有しない不妊患者の25%より明らかに低く、子宮筋腫の有無が妊娠率に影響を及ぼしていたとの報告もあり、一般的な不妊検査、治療で子宮筋腫以外に不妊原因が見つからない場合には、何らかの治療を考慮したほうがよいでしょう。 子宮筋腫の治療法は現在では多くの選択肢が選べるようになってきました。 手術を希望しない方にはGN-RHアンタゴニスト注射法がありますが、更年期以降の症例と異なり、再発も多く、この治療期間中には排卵が抑えられるので不妊治療が出来ないなどの問題点もありあまりお勧めできません。 最近同じ保存的治療法で子宮動脈塞栓療法(UAE)も話題となっていますが、治療成績が安定しておらず不妊治療としては推奨されません。 したかって外科的手術療法がメインですが、そのうちでは腹腔鏡下子宮筋腫核出術、または子宮鏡下筋腫核出術が不妊症に合併する子宮筋腫にもっとも有用性があると考えられます。