排卵誘発剤後の生理の遅れ(33歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

通常、28~30周期で生理が始まるのですが今月は一週間遅れています。 今まで生理が遅れた事がありません。 今、不妊治療中で前周期に体外受精の為排卵誘発剤を注射しました。 採卵までは出来ましたが空砲で胚移植まで行かず妊娠の可能性はありません。 今回で二度目の体外受精なのですが誘発剤の反応も年齢の割に悪いと言われ卵巣機能が低下しているのではと言われました。このまま生理が止まってしまう可能性はあるのでしょうか?

体外受精後は排卵が遅れることは少なくありません。次の周期には正常化する可能性が大きいでしょう。

卵巣機能低下を救う手立てはあります。 不妊治療特に体外受精での採卵までの卵巣刺激法は種々あり各クリニックでも異なります。 したがって今回どのような薬剤を用いて採卵したのでしょうか?アゴニストを用いたのか、アンタゴニストなのかなどにより大きく異なりますので一概にはコメントできませんが、一般的に刺激が強いほどそのあとの排卵は遅れることが少なくありません。 また採卵時には排卵刺激剤の副作用として卵巣過剰刺激症候群が起きやすいことはよく知られています。 特に多襄胞性卵巣症候群(PCO)では このような副作用が起きやすく、次の周期でも無排卵症が長引くことがあります。 卵巣機能低下(実際は卵巣予備能の低下)は年齢の上昇とともに見られますが、35歳まではそれほど急劇な衰えることは少ないので、まだまだ機能的に余裕があるはずです。 実際に採卵の開始周期に現在の卵巣の予備能を検討する方法も何種類かあり、例えば月経3日目の血液中のFSH値や、超音波で確認できるこれから発育する胞状卵胞数、最近では抗ミュウラー管ホルモン(AMH)といわれる物質の測定などで、ある程度のその周期の卵巣予備能を予想することができますので、一度主治医とよく相談してみたらいかがでしょうか?また排卵や採卵のために刺激に用いる刺激ホルモン剤も数多く選べるようになり、採卵もロング法といわれる長期に点鼻薬(アゴニスト)を用いる方法や、排卵してしまうことを抑制するアンタゴニスト法などを排卵刺激剤と組み合わせることで一人一人に合った採卵法をえらぶことができますので、これから良い卵を獲得できる可能性はありますので希望を持ってください。 採卵時に空胞〔卵が回収できないこと〕とのことでしたが、実際採卵してみると、施術前に確認された超音波上の卵胞数と実際回収された卵の数は必ずしも一致しません。 中には10個以上の卵胞から一つも卵が回収できない場合さえあります(卵胞空胞症候群;EFS)。 年齢上昇とともにこの現象は増加しますが刺激法を換えることで、次の採卵時にはEFSを避けることもできます。 夫婦間の体外受精法は動物実験では簡単に再現することができませんので、自分の過去の妊娠できなかった採卵周期は次の機会に多くの情報を与えてくれますのでまったくの無駄ではありません。 あまり悲観しないで次回には良い結果が得られる希望を持ちましょう。