体調不良時の基礎体温(28歳・女性)
公開日:2024.03.21更新日:2024.03.21
妊娠希望なので基礎体温をつけていますが、風邪気味も影響しているせいか、なかなか二層?にならなくて挫折気味です。風邪気味だとちゃんと測れていないのでしょうか。 脇用ではなく口内で検温の物でなければダメですか?脇用の物を(新品ですが)口内で検温しているのもダメなのでしょうか?
基礎体温は自分で行えるもっとも簡単な自己診断法です。きちんと婦人体温計を用いて行なえばその有用性は高いでしょう。
基礎体温表(BBT)は不妊治療には欠かせないルーツです。朝目覚めたときに口の中に婦人体温計を入れて測定した体温を基礎体温と言います。 体温計ですが現在は水銀計と電子計(デジタル計)の2種類が販売されています。 ここで注意が必要なのは、水銀計は実際の体温を測定〔実測値〕で、電子計は予測値が大部分です。 したがって電子計は測定時間が一般に短くなっています。 通常の脇下での体温測定とは異なり、婦人体温計はメモリーが細分化されており微妙な温度変化も測定できるようになっています。また口腔内測定が必要なのは女性のホルモンの変化は、口の粘膜と唾液にもっともよく反映されるからであり、脇下での測定は意味がありません。 なぜ基礎体温というかというと、十分な休息(通常は6時間以上)の睡眠をとった時には人間の基礎代謝〔生きていくのに最低限のエネルギー〕が最も低下しているときなので、基礎体温というわけです。 したがって病気で発熱したり、すでに体を動かして活動開始していたり、前夜大量の飲酒があったり、不眠で睡眠時間が少なかったり、旅行で環境が変化するとその時の体温は当然高くなり影響を受けます。 また多くの人は基礎体温で排卵日が低温相のドロップで予測できると考えていますが、私たちの超音波での検討では低温最終日に排卵するのは1/3に過ぎず、多くは高温相に移行してから排卵が始まっています、したがって基礎体温のみでタイミング療法を行っても、排卵日に適格にマッチしているとは限りません。 基礎体温が効果あるのは振り返って排卵があった周期か否か〔きれいな2相性か〕、高温相(黄体期)形成がよいかどうか、高温が持続して妊娠した可能性が早期に推定できるかなどがあります。 しかしあくまでも基礎体温は補助診断ですので、これ単独での不妊治療はあまり意味がないことも知っておきましょう。 しかし重要なのは患者さん自身が基礎体温を測定することで自分の治療に対する関心や理解を持つことができることで、たんに温度の記録だけでなく性交日、下腹痛〔排卵痛〕、おりものの量、検査結果などを記録することで、次の治療につながる立派な診療記録となります。