ソフィアレディスクリニック

膣に精子がいないってことは?(24歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

私は今不妊治療中です。 先日、病院にいって子宮と膣にどれくらい精子がいるか調べたところ、「子宮にはいるが膣の方にはまったくいない」と言われました。これは妊娠は無理ということですか?

男性因子である精液検査を受けたのでしょうか?精液が検査正常で抗精子抗体が血中に存在しなければ妊娠の可能性は大きいでしょう。

今回の検査はフーナーテストといわれる方法と考えられますので、この検査について説明をいたします。 このテストは性交後試験ともいわれ排卵日の朝に性交してから来院、子宮頚管粘液の中に運動している精子がいくつ存在するか否かを検査する方法です。 子宮頚管は経管粘液を分泌しておりこの分泌物は精子を通過させる通路としてだけではなく精子を貯蔵し、受精のために活性化を行うなどの重要な役割を果たしています。 またこの経管粘液が最も分泌量が多くなり、その精子通過性が最大となるのは排卵の時期と一致しています。 すなわち経管粘液の性状は周期的に変化していて、卵の成熟と一致して排卵時に最良の状態となりますので、体内の卵胞成熟ひいては女性ホルモン分泌量を反映していると考えられます。 排卵が終了すると黄体ホルモンの分泌が始まり、経管粘液量は急激に減少し、精子の通過性も認められなくなります。 したがってこのフーナーテストは行うのが最適な時期が排卵時期であるというのが重要で、排卵時期に一致しない検査結果であれば診断的価値がありません。 また精子検査に問題〔たとえば運動精子が少ない、数が少ないなど〕があれば、女性側に異常がなくてもテストの結果は良好とはなりませんし、性交後からの時間がたって検査を行えば、当然精子の存在も大きく変化していきます(原法では性交後2時間以内となっており、現実には性交後2時間での検査は厳密には無理なことが多いと推測できます)。 またどのぐらいの精子数が経管粘液中に存在すれば陽性とするかについても、各施設によってまちまちで統一された判定基準もありません。 このようにフーナーテストは100年以上以前から知られている検査法でありながら、いくつかの臨床的意義に問題点があり現にアメリカでは多くの施設ではすでに行わないところも少なくありません。 これらの条件がすべてクリアーされて今回の結果が出たと仮定して考察してみると、まず男性の精子検査が異常なかったか否か、これが正常なら免疫的自己抗体である精子の運動を抑制する「抗精子抗体」が女性の血液に存在するか否かが重要なポイントになってきます。 抗精子抗体は簡単に検査出来ますし、たんにフーナーテストが悪いだけなら経管をクリアーできる人工授精(AIH)にすぐ移行できますので、経管に精子が存在すれば妊娠は可能なはずですので主治医と相談されてはいかがでしょうか。

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