子宮内膜症と言われて3年目でも子供は出来るの?(19歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

私は子宮内膜症と言われて3年が経ち、主治医に妊娠を希望するなら年内に子作りした方が良いと言われました。 婚約者とは話合ったのですがいまひとつ子作りに協力して貰えません。 こんな状態なので主治医に言われた事に焦りを感じてしまって本当に今から子作りしないといけないのかと不安です…。 やはり年齢が若くても症状や進行具合が酷ければ早く子作りした方が良いんでしょうか…?

妊娠も確かに子宮内膜症の治療とはなり得ますが、年齢、未婚であること考えますとまだ多くの検査・治療の選択肢があると考えます。

子宮内膜症は子宮内膜組織とよく似た組織が子宮の内外に発生・発育する疾患で、最近その頻度は生活習慣の変化や診断技術の進歩で増加しつつあると言われています。 その発生部位は子宮・卵巣にとどまらず,膀胱や骨盤内に広くみられ、時には腸管,肺,臍などにも発生します。 現在では生殖年齢の女性の10%に存在すると推定されています。 どうしてこの様な病気が発生するのかはいまだ不明ですが、月経血が子宮から卵管を通じて腹腔内に逆流するためとの説が有力です。 生理の無い初経前や閉経後に新たに発生することはなく、妊娠分娩の経験者にはこの疾患が少ないことから主として女性ホルモン(エストロゲン)が関与していると思われます。 症状は月経時の下腹部痛、腰痛、排便痛であり不妊症患者さんではその頻度が通常より3~4倍存在するので、不妊検査をきっかけに本症が発見されることも少なくありません。 診断は上記の特有な症状のほか内診時の痛み、子宮後屈のほか超音波検査やMRI検査で卵巣にいわゆるチョコレートのう胞といわれる特有な腫瘤を認めることから診断されることが多く、さらに血液中の腫瘍マーカーであるCA-125が高値を示せばよりその疑いは濃厚になります。 しかし確実な診断には腹腔鏡検査(臍部よりスコープを入れて腹腔内を観察して手術を行う方法)か開腹の診断によります。 治療は薬物療法と手術療法があり年齢、不妊症歴などによって選択されます。 一般的な薬物療法はアナログ点鼻薬と注射法、ダナゾール、黄体ホルモン連続投与法、低用量ピル、鎮痛剤投与などから選択しますが、舉児希望のある場合で不妊の主原因が子宮内膜症と考えられる場合は腹腔鏡手術が積極的に選択されます。 軽度の内膜症では腹腔鏡下の病巣の焼灼と洗浄だけでも妊娠率は上昇し、重症例でものう胞の摘出と癒着刎離、洗浄によって妊娠しやすくなることが確認されております。 したがってしっかりとした診断と治療方針を決めることが肝要です。