不妊は年齢?それとも他に原因が?(41歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

去年の3月に妊娠したのですが、流産してそれからなかなか妊娠しないので、子宮造影をしたら血の固まりが出て来ました。 もしかして流産の時のが出て来たのでしょうか? 医師から半年たっても妊娠しなかったら、体外受精と言われセカンドオピニオンを考えています。排卵の有無の検査も無かったので。

妊孕力(妊娠できる能力)と年齢は密接に関係しています。ステップアップを急ぐべきでしょう。

結婚してから2年未満でしかも流産の経験があれば厳密な意味では不妊症ではありません。 子宮卵管造影で出てきた塊は流産とは関係ないと思います。 一般的に貴女の今後の妊娠の可能性を考えると、最新不妊治療技術(ART)を用いたとしても40代での挙児の成功率は10%に満たないと思います。 更に42歳を過ぎると妊娠の可能性はさらに小さくなります。 またうまく妊娠できたとしても、40歳代での妊娠は流産する確率が20歳代の4倍にもなり、このような見地からは現在の主治医が言われるように一般不妊治療にこだわらず、早めに治療のステップアップを急ぐべきでしょう。 ではなぜ40代になるとこのように急激な卵巣機能の低下が起こるのでしょうか?まず37歳を超えると女性は加齢による卵巣機能の低下が著明に起きます。更に子宮筋腫や子宮内膜症の合併頻度が増加してきます。 また以前に罹患したクラミジアによる骨盤腹膜炎の後遺症とも言うべき卵管の癒着や、卵巣機能の急激な低下である早発閉経(40歳未満で閉経状態になる事)発症や、不育症(妊娠はするものの、元気な赤ちゃんを得られないで流・死産を繰り返す現象)や反復流産等の頻度が増加します。 現実に40代での妊娠で流産した症例の胎児染色体を分析すると、60~70%に数の異常を中心とした染色体の異常例があることが判明しています。 すなわち卵巣の加齢が原因で妊娠率の減少、流産数の増加があり、この現象は体外受精などの特殊不妊治療(ART)の症例でも同じ傾向が見られます。 すなわち高齢による卵巣機能低下は受精率の低下、受精卵発育能や胚の質的低下、着床能低下に結びついています。男性でも40代では加齢の影響として精子の条件の低下(精子数や運動能低下)や、性機能(勃起力低下、性交不全、性交回数の低下)が見られますが、女性よりその速度は緩やかです。