やっと薬で排卵するようになったのですが…(24歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

月経不順のため婦人科へ受診したところ、薬で生理を起こさせ、排卵が起こっていないとのことで排卵誘発剤を飲んでいます。受診してから半年経って、やっと排卵が起きました。 自然に月経も排卵もするようになるのでしょうか? このまま薬でないと排卵が起こらない場合、胎児への影響はありますか? 今、結婚を考えているので、妊娠できる体になるのか不安です。

基礎的なホルモン値はどのような値であったのでしょうか?これにより排卵できない原因や重症度が判明します。無排卵症の可能性が高いようです。

まず最初になぜ排卵が起こらないのかを検討しなければなりません。 すなわち排卵障害の重症度及び原因の確認です。 検査の手順としては、最初に体内にある程度の女性ホルモン(エストロゲン)産生があるか否かを調べる目的で、黄体ホルモン注射を行い、子宮出血があるか(第1度無月経)ないか(第2度無月経)によって重症度を決めることができます。 次にホルモン採血(FSH、LH、PRL、女性ホルモン、男性ホルモン)測定による障害部位の決定です。 低ゴナドトロピン血症性(FSHが低い)排卵障害として 間脳に原因がある重症の2度無月経(WHIグループⅠ)や、 正ゴナドトロピン性排卵障害(基本FSH,LHが正常)で下垂体障害原因(WHIグループⅡ)、 これには男性ホルモン高値の多のう胞性卵巣症候群(PCO)を含み、かつより軽症な無排卵周期症、黄体機能不全,希発月経などもこのグループに含まれます。 高ゴナドトロピン血症(基本FSHが高値)は卵巣性無排卵症(WHIグループⅢ)とされ、ほかに 高プロラクチン血症性排卵障害(WHIグループⅥ)や その他の先天性、後天性精路異常など と細かく分類されており、このグループ毎に治療が各々異なるのでやはり生殖医療専門医の適格な診断と治療方針の決定が必要です。 妊娠可能の基本的な条件は排卵があるということですから、あなたの場合も妊娠を望む時が来たら排卵刺激剤治療(内服薬と注射薬が主)を受ける必要があるでしょう。 また排卵障害の中には遺伝的原因を継承している症例も少なくありませんので治療は長期にわたることが多く見られます。 女性側原因の不妊症全体のうち排卵障害が原因の方は30%と多いのですが、現在では多種類の有効な治療の組み合わせが選択できその効果も高く、多胎の発生率や卵巣過剰症候群など頻度はやや高くなりますが、新生児の奇形発生率上昇は見られないようです。 排卵障害そのものも妊娠分娩を契機に改善することも少なくなく、妊娠がその後の治療に結びつく可能性があります。