ソフィアレディスクリニック

痛みが取れない…他に原因が?(32歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

お腹に激痛がはしり受診したら、子宮外妊娠から流産と診断。 検査の結果、お腹に血液が溜まり左の卵巣付近に血の塊があると。 痛みも治まり妊娠性ホルモンの数値も下がり様子を見ていたのですが、10日後位にまたお腹が痛みだしました。 受診したところ、溜まった血液は吸収されているが塊のようなものは変わらずあり、炎症が起きていると言うことで抗生物質と痛み止めをもらい飲んでいます。 しかし痛みが取れません。痛みの原因が他に何かあるのでしょうか?

子宮外妊娠特に卵管流産とそれに引き続いて起こった骨盤内感染症が疑われます。痛みが継続するようなら腹腔鏡検査も一度考えましょう。

妊娠何週で発生した腹痛発作か判然としていませんがおそらく6~7週ぐらいだったのでしょうか。この時期には卵管に受精卵が着床するといわゆる子宮外妊娠となり、自然にそこで胎児が順調に育つ可能性はないので、いずれは出血と下腹部痛を伴い流産兆候を示します。 この場合も卵管が着床部で破裂すると腹腔内に大量の出血を起こし早急に手術をしないとショック状態から死亡に至ることもありますので十分な注意が必要です。 また卵管着床部から妊娠組織が剥離して腹腔内に向かって流れだす場合も少なくありません〔卵管流産といいます〕。 少量の出血と痛みが発生しますが、この場合でもそのまま吸収されてしまえば手術的操作は必要ないことが多いのですが、卵管からの流産組織が再度卵巣や腹膜に再着床をしてそこで発育を開始することがあります。 この場合には一度低下したHCG値が再度上昇しますので低下したとして安心してはいけません。 このような子宮外妊娠ではその原因として、着床以前にすでに卵管またはその周囲部分に炎症(骨盤内炎症:PID)が存在する場合が少なくありません。 すなわち子宮外妊娠とPIDはともに合併する可能性が常にあるのです。 すなわち今回のように子宮外妊娠の流産を契機にPIDが再燃して症状がはっきりと表れて来る場合があります。 PIDは骨盤腹膜に限定する炎症で自覚的には下腹部痛、発熱があり内診で子宮付属器とその周辺に圧痛を認め、超音波、MRI、CTなどで腫瘤陰影を認めることで確診出来ます。 一般的には子宮内膜炎・卵管炎・付属器炎から続発することが少なくありません。 その原因菌として最近では性器クラミジア感染の発生率増加が影響している事が言われています。 この治療法としては抗生剤による薬物療法と外科的治療法がありますが、この両者を適当に組み合わせて治療方針の検討を行う場合が多く、抗生物質の服用を開始して症状や臨床検査の改善を認めない場合には病巣部能切除や排膿などの外科的処置が必要になります。 過去にはPIDでは腹腔鏡手術は禁忌とされた場合もありましたが、現在では特に未婚者や舉児希望者には腹腔鏡下手術が好んで行われるようになり、術中に卵管通過性の検査も合わせて行うことができます。

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