PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)について
最近不妊の排卵障害の原因として上昇傾向にあるのがこのPCOSです。ここで注意しなければならないのがPCO〔多嚢胞性卵巣)とPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは同一の言葉ではないことです。PCOとは超音波上多数の卵胞が見られることで観察できる状態であり正常排卵でも存在することもあります、PCOSは排卵障害などの異常を伴う病態です。PCOSは不思議な病気でありいまだその原因ははっきりしませんが、最近注目を浴びているのがインシュリン抵抗性(IR)との相関です。IRとは血糖をコントロールする役割のインシュリンの効果が弱まった状態で、糖尿病的体質とも推定され遺伝的な素質とも考えられるために、家族に糖尿病がある方が存在しないか、将来自身が糖尿病になり易くないかなどの注意が必要です。この病気の定義もヨーロッパ、アメリカ、日本で少しずつ異なりますにで成因には人種的な差があるのかもしれません。一般的には無排卵となり不妊の原因となっていますが、肥満や男性ホルモン高値などを伴うことが多く、治療にはまずクロミフェンが最初に使用されますが、これで排卵できないときにはIRの検査(インスリンと血糖の同時検査:HOMA試験)を受けて、弱い糖尿病薬であるメトフォルミンの併用が必要となります。また男性ホルモン高値には漢方薬の併用などが行われることがあります。治療では連続HMG刺激によっては過剰反応(OHHS)を起こす事もありますので専門家による十分な観察が必要です。いずれにしてもPCOSと診断されたら不妊内分泌の専門医の検査治療を受けたほうが良いでしょう。