HRT(ホルモン補充療法)はいつまでやるのが良いでしょうか?
[2016.01.15]
わが国でHRTが普及しはじめて10年が経過し、この間にHRTの有効性は疑いのない事実として確認されたが、米国での大規模試験で血栓症や乳癌が増加するとの報告もあり、どこで中止するか悩んでいる患者さんも少なくない。
HRTの臨床効果は明らかなので、米国での報告後に、HRTを中止した症例の2割が一年以内に治療を再開したとの報告もあり、特に更年期症状が治っても、将来の生活の質(QOL)を高めるために、予防的にHRTを続行したいと考えている場合に、どこまでと考えるのは当然であろう。
第一に急性の更年期症状が治ったら中止するとの考え方があるが、この場合は再然することも少なくなく、何らかの代替療法(漢方やサプリメント)を続けた方かよい。
第一に5年以内の服用なら有意の乳癌などの発症には差がないという多くの報告や私自身の経験もあり、これも一つの区切り点と考えられるが、この場合も突然中止するのではなく、漸減または代替療法に引き継いだ方が良いでしょう。
第三には必要と考えられる時期まで続けるとの考え方もあり、この場合には特に定期的な医師の管理下で行うことが必要なのは当然です。
いずれにしても十分な検診と医学管理があれば、2年、5年、10年などの時期の問題ではなく、自分のQOLと体調が良く、医師との信頼関係があれば、HRTのもつ危険性は心配する程大きくないと考えます。