通常体外受精に使われている点鼻薬（スプレキュアなど）はGnRHアゴニストと言われ、ある期間使うことで、排卵誘発の自然のLH分泌を抑制しますが、このアゴニスト（ナサニール、ブセレキュア）に比べ、直接的に短期間にLH分泌を抑制できるのがアンタゴニスト（セトロタイド・ガニレストなど）注射薬で、もっぱら体外受精の卵胞発育刺激時に1～3回の短期に用いられ、その効果はアゴニストより著明です。

すでに欧米では以前から広く用いられており、日本でも発売されています（保険は不可）。以前は並行輸入で価額が高価でしたが現在では日本で自由に手に入ることより、従来の点鼻薬を使うアンタゴニスト法から、より手軽な１~２回の注射で済むこのアンタゴニストによる採卵法が多くなっています。ロングと言われる長期の点鼻薬が合わない方はもちろん、OHSSの発症率もアゴニストより低下しますので、当院ではこの方法が現在メインとなっており、全体で７割の患者さんにこのアンタゴニスト法を採用しています。