習慣性流産の一因に精子の異常?(院長コラム)
[2019.01.27]
一般的に流産を繰り返す習慣性流産の原因は女性側にあると考えられてきましたが、英国インペリアルカレッジのJayasena 氏らの研究では精子の健康状態が妊婦の健康状態に関与することが判明したと今年の1月に発表されています。流産を3回以上続いてしている女性のパートナー50人の精子の質を分析して、流産経験のないパートナーグループの精子と比較検討し発表しています。その結果、流産グループでは、DNAが損傷した精子の割合(DNA断片化率)が2倍存在したと発表しました。この原因としては精子の持つ活性酸素(ROS)が高濃度になり過ぎたためではないかと推論しています。ROSは通常精子男感染を防ぐために存在すると考えら得ていますが、流産グループではこのROSが多すぎて4倍も存在したと報告をしており、其の原因として前立腺などに細菌感染がある場合などを推定しています。従来は染色体と女性側のみの原因検索で流産因子が調べていましたが、これからは男性精子のROS濃度や前立腺の細菌感染症にも注意が必要かも知れません。