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着床障害について

[2016.08.02]

不妊である原因は現在かなりの部分解明されてきましたが、着床障害は残された不明の部分がまだある病態です。大きな着床障害の原因部分を占めるのは①黄体機能不全といわれる子宮内膜へのプロゲステロン作用がうまくゆかない場合です。したがって現在では体外受精後には必ず黄体ホルモン補充療法がなされ、場合によってはHCGによる黄体刺激療法も併用されます〔HCG注射療法の項参照)。投与の方法としては経膣投与か注射が選択され、経口合成ホルモンは原則使われません〔逆に経口剤は黄体を退縮させる作用があるといわれています)。特に最近では日本でも天然プロゲステロンの膣錠が安定的に使用されるようになって来て、患者さんには福音のひとつです。ついで②子宮因子があります。筋腫・子宮奇形・内膜ポリープ・子宮内腔癒着・慢性子宮内膜炎がありこの場合は子宮鏡による観察・手術治療が有効と考えられます。③では子宮内膜の薄い場合には着床がしにくいことが経験的に判明しています。この原因としては子宮内膜での血管を新しく作ったり、内膜を成長させる物質(VEGF)などが注目されており、冷え症がなく子宮の血流のよい方が着床には有利である事も判明しています。ヴィタミンや葉酸の抗酸化物質の服用や低周波レーザーによる血管マッサージ、バイアグラ投与などによる血流改善療法が臨床的に応用されています。当然着床できないときには、子宮側だけではなく卵の側に問題がある場合もあり〔たとえば孵化(ハッチング)できない受精卵や、「着床の窓」にあわない移植の場合)などもあり、受精卵と子宮の相互関係から検討する必要があるので着床障害と考えられる症例では総合的な原因の検討が必要です。

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