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流産された患者様のお手紙

[2016.01.15]

うまくお手紙が書けるか…分かりませんが、佐藤先生と看護師さんに感謝の気持ちといいますが、お手紙したくてペンをとりました。

今日は手術後3日目です。

心にポッカリとあいた穴はあまりに大きくて今は毎日、本当は泣いていたいです。

妊娠していると分かった時、本当に嬉しくて嬉しくて。

4日前に不妊学級にも参加し、年内で無理だったら体外受精にステップアップしようか…と考えている先生のことでした。

7回目のAIHでの妊娠でした。

それから毎日は「今までこんな幸せなかったよ」という位幸せでした。

初めての妊娠の本を何冊も買ったり、名前を考えたり、両親も大喜びで、私は幼稚園の仕事もそれから3週間休み、大事に大事に安静に過ごしていました。

そして妊娠後3回目の診察。

7週なのに育ちが良くない、心拍もまだ…と言われても、不安に思うことより、私の子だから私に似てのんびりしているんだよと思っていました。

信じられない、信じたくない気持ちが大きかったんだと思います。

その日に説明を受け、次の次の日の手術をするまでは、どうにかこの子を守りたい、神様はいないの…?どうしてこんなに私たちに試練ばかり与えるの…?耐えられないよと思っていました。

今も正直、その気持ちに変わりはありませんが…。

でも、私たちのところにきてくれたあかちゃん、ありがとう。

こんな幸せな気持ちにさせてくれてありがとう。

生まれてはこれなかったけれど、私たちのところにきてくれたことで、私たちは得たものもたくさんあります。

これからも辛いことがあったとしても今回のこと以上のことはないんじゃないかという位泣きました。

だから、私は赤ちゃんの分も強くしっかり生きていこうと思います。

赤ちゃんのことを忘れる日はこの先一日もないと思います。

また必ず私たちのところへ帰ってきてくれると信じて頑張ります。

佐藤先生にみて頂いて、本当に良かったです。

年末なので、染色体は調べられないけど、病理で調べて、今回のことを無駄にしない、次につなげられるようにするとおっしゃって下さって、改めてこの病院でよかった、いい先生、いい看護士さんで良かったと思いました。

また一月から通院します。

この寒い冬が終われば、暖かい春が必ずくると信じて治療頑張ります。

赤ちゃんって授かるのがゴールでなく、生まれるまでがゴールというか奇跡なんですね。

佐藤先生、看護師さん、ありがとうございました。私の赤ちゃんを皆さんに知ってもらえてよかったです。

主治医よりのコメント

流産は本当に悲しい現象です。特にこの方の場合は稽留流産という、出血や痛みを全くとも伴なわない形の流産であり、信じられないのも無理はありません。

本人や家族だけでなく、治療する医師やコメジカルにとっても受けるショックは大きいものです。

不妊治療妊娠のうち、約18%位は流産に終わることが知られていますが、幸いな事に、一度妊娠を経験したという事実は必ず次の妊娠にとっては良い経験になり、子宮は一度妊娠した記憶を必ず持っています。

悲しい事ですが、次に向けて希望をもって治療をすることが必ず良い結果を生むことを、医師として多くの症例をみてきました。

一緒に頑張りましょう。

追伸

この患者さんは、その後再度治療を再開し、AIHで妊娠に成功し、先日無事に赤やんを出産され、暖かい春を迎えられました。

習慣的に流産される患者さんでも治療にて85%の方は子を授かることが出来るとの報告(厚生省研究班)もあります。

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