最近の乳がん検診について思う
日本でも乳がん症例がが急速に増加し、特に有名人が乳がん罹患を発表したり、闘病の状態をカミングアウトすることで、多くの女性が乳がん検診の大切さを感じて検診に参加するようになって来ました。先週・今週と2回の乳がん検診関係の学会、研究会に参加しましたが重要なポイントは超音波の機器の進歩と其の診断能力上昇です。現状では30代、40代、50代の女性の死亡率第一位は、乳がんによる死亡です(ちなみにこの年齢での子宮頸がん死亡率はすべて第4位です)。日本ではマンモグラフィーがあたかも万能の救世主の如く扱われてきましたが、過去に多くの症例を持つ欧米では、すでに反省期に入っており其の有効性がX線の副作用と共に再検討されています。私は更年期医療とくにHRTを行うために、18年前から超音波併用の乳がん検診を開始・15年前にマンモグラフイー読影医の資格も取り、併用の有用性を感じて学会発表などしていましたがまったく相手にされませんでした(更年期学会発表の項参照)。しかし昨今併用の有用性が再認識されてきています。特に乳腺の濃い30台・40台婦人では、其の優位性は明らかです。現在の公的検診は30台では試触診のみであり、これではほとんど検診の意味を持たないこともあきらかです。特に今回の女優・小林麻央さんのように、30台で一人目、二人目と連続的に妊娠してしまうと、妊娠中・産褥期には検診の対象からはずされるために、発見が遅れることがしばしば見られます。しかし超音波検診は妊娠中でも可能で、3ヶ月までは非妊娠時と同じような所見が得られるために、妊娠前や、妊娠初期には必ず乳がん検診を受けましょう。不妊症の患者さんも高齢化しつつあるため、不妊治療に懸命となって乳がん・子宮がんの発見が遅れる症例がときに見られます。30~40代の方は意識して婦人科の検診(乳がん・子宮がん)を積極的に受けましょう。妊娠してからでも超音波検診は受けられますので主治医に相談ください。