最近、高年齢の治療例が多いとのことですが、その成績は?
当院の症例からは2005年度には排卵例の15%が40歳代でしたが、2007年度には32%と3人に1人は40代で、2013年には45%が40歳以上のARTでの治療となり年々増加傾向を示しております。
40代の妊娠率は約8~15%ですが、40、41歳はまだ良いのですが、42歳以上になると4~5%となり、さらに流産率も40%と40歳未満と比較すると、明らかに妊娠率も低く、流産率は高く、その対応には苦慮する例が少なくありません。この原因としてはまず加齢による保持する卵数の減少、卵質の低下・卵細胞活性の低下、染色体異常卵の増加などが考えられています。学会の全国集計も同じような傾向が見られ、42歳以上では助成金の効果が見られないとして、2016年4月よりの42歳以上への助成金中止となった根拠の成績と言われています。現在当院の自己卵による最高年齢妊娠例は46歳・47歳分娩例ですがやはり加齢は最大の不妊治療のネックとなります。女性だけでなく男性精子も加齢により質・量・活性能力が低下しますので男性にとっても加齢による影響は少なからずありますので、ご注意ください。
出来れば平均的に妊娠率の得られる30歳代までに不妊治療はしておくことが結果的には最良です。40歳代であっても、私達は最善を尽くして治療を行ないますが、現在では、若年時に採卵して凍結保存する技術や、受精卵凍結の技術も大きく進んでいますので、早めにご相談下さい。(成績欄に日本産科婦人科学会の全国統計成績があります。参照してください)