最近、男性不妊の新しい薬物療法がありますか?
[2016.01.14]
2006年より男性不妊の原因のうち、下垂体ホルモン低下による精子製造能力低下症(低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症)に対して純粋な性腺刺激ホルモン(リコンビナントFSHといわれる)が保険で使用可能となり、精子が精液に存在しない無精子症のうちの一部の例(精子製造刺激ホルモンFSHがほとんど下垂体から分泌されていないような症例)に非常に有効であることが報告されてきました。当院でもこの注射薬を使用して少ない精子を冷凍貯蔵しICSIを併用して妊娠に成功した例を2007年10月に報告しています(学会活動参照)。以後すでに数十例の使用経験があり、この注射は自己注射が可能で、かつ有効率も70%以上あることで注目されております。
健康保険も効き、一部の企業健保では治療への補助制度もあり、忙しい男性患者にとっては自己注射が可能なので、患者さんには有難い方法ですが、数ヶ月~数年という長い治療期間が必要な事が多いのが難点です。
しかし、無精子症のみでなく、数の少ない乏精子症の方にも使える場合もありますので、担当医とよく相談してください。