更年期になると、心臓病になりやすいと聞きましたが本当でしょうか?
本当です。その原因について述べてみましょう。
心臓病(特に心筋梗塞や狭心症などの心臓の血管動脈硬化による病気)は、米国では男性でも女性でも死亡原因の第一位であり、日本女性でも生活や食事の欧米化で21世紀中には第一位になると推定されています。
その要因は更年期、閉経周辺を契機として悪玉コレステロールの上昇(高脂血症)→動脈壁への沈着→動脈硬化→心臓血管狭窄・閉塞→狭心症や心筋梗塞の発生へと移行するからです。
では何故、更年期以降となると高脂血症が起こりやすくなるのでしょうか。
食物から摂取されたコレステロール類は、本来エネルギーや性ホルモンの原料として使われていますが、一方では摂取エネルギーは変わりないので、過剰な脂肪は中年太りや血管への沈着という形で溜まってゆきます。
一方女性ホルモンは血管を清らかに、また血流をさらさらにする作用があるので、この減少はさらに血管への悪玉コレステロールの沈着を促進します。
更年期以後では全身の血管にこのような現象がおこりますので、心臓のみではなく、脳血管におこれば脳梗塞→脳血管性のボケへと進展します。
少量の女性ホルモン補充はこれらを防ぎ、善玉コレステロールを増加させますので、食生活の改善とホルモン補充療法は予防として有効な一方法と考えられています。