更年期におこる「うつ状態」について教えてください。
多くの報告をみると、ほとんどの報告では、うつ病の存在は女性の全年齢層で、男性の1.5倍~3倍と高くなっています。
その背景には女性ホルモンの影響があると言われていますが、まだ明確な結論は出ておらす、現在WHOのプロジェクトが進行中であり、その結果が待たれています。
一般には薬物療法が行われますが、現在ではSSRIと言われる薬が開発使用され、副作用が少なく安全に投与が出来ることから、一般の診療料でも、うつの患者さんを治療する機会が増えてきています。
特に更年期の女性には、典型的な更年期障害の症状(ほてり・発汗など)のほかに、いらいら感、不眠などの心因的症状か合併することが多く、このSSRIの使用例も増加しています。
一般的に更年期症状の典型例では、ホルモン補充療法(HRTが行われますが、これに伴ってうつ症状のみられる患者さんにはHRTで症状の改善がみられ、有効と考えられていますが、精神神経症状のみの患者さんではHRT単独投与は無効の場合が多く、抗うつ剤の投与が必要と考えられています。
うつ病は「心の風邪」とも言われ、人生で一回は必ず経験すると言われており、特に更年期では子育ての時期を終え、一方で身体的な衰えとともに、人間関係や物事の喪失感も現れ、人生の折り返し点として、再出発する時期とも言えます。
これに対処するために、うつについて医師に最良の治療を相談することは恥ずかしいことではありません。
充実した老後を目指すためにも、更年期専門医と相談しましょう。