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慢性子宮内膜炎(CE)とは?

[2018.09.30]

慢性子宮内膜炎とは最近着床障害の原因として注目を浴びている病態です。不妊患者の30%に存在するとも言われ、特に数回の胚移植でも妊娠しない着床障害例ではその確率は、60%にも上がると考えられています。何も自覚症状が無くても、このCEは存在する事も多く、生殖医療を受けても妊娠しない方への関与が注目を浴びています。原因はまだはっきりしないことが多いのですが、細菌感染や、免疫的原因が考えられています。診断法としては現在のところまず子宮鏡所見でで発赤や小ポリープ、浮腫〔むくみ)などが内膜に観察され、子宮内膜採取の組織に形質細胞が診られ、細菌が検出されることなどがあげられていますが、特に細菌の検出は特殊な方法(ALICE検査)のみで診断できるとも言われています。このため子宮鏡の所見のみでCEと判定される場合も多いようです。急性子宮内膜炎は生理で剥がれる内方部分の子宮内膜の炎症ですので、月経時の内膜の剥奪により治る事も多いのですが、慢性の場合は内膜を支える深い基底層まで炎症が及んでいるため自然治癒は望めないと考えられます。当院で子宮鏡をルーチンに行ってから2年間がたちましたが、施行症例の着床不全症例の50%には何らかの所見が確認されました。また抗生剤の投与で改善する例も多いので、確かに慢性子宮内膜炎の診断と治療はこれから着床障害での治療のポイントになると思われます。その意味でも子宮鏡の検査は大切であり、このように生殖医療のうちもっとも解明が難しかった着床障害も次第に解明されつつあると推察しております。

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