思春期子宮内膜症について
子宮内膜症は成人の病気と考えられ、思春期の月経痛の原因としてはあまり存在しないと今までは考えられていました。最近東京大学の甲賀かおり先生が発表した論文の中で腹腔鏡で確認された思春期子宮内膜症の罹患率について、15の論文のレヴューより慢性骨盤痛や月経困難症を有する思春期女子の62%、中でも低用量ピルや、ロキソニンなどが効かない思春期月経困難症の70%、慢性骨盤痛を示す女子の75%に本症を認めたとの報告があります。特異的なリスクファクターとしては月経血が流失しにくい子宮の形が悪い場合(子宮奇形)や、初経年齢が低くて、家族に同様の症状を有するなどの条件のある女子に多いとい割れています。症状としては月経痛よりも、慢性骨盤痛、排便痛、便秘、運動時の下腹痛,膀胱の痛み等を訴えることが多く、また痛いときに吐き気を伴うことが多いという。このためにうつ病や、精神的な疾患と間違われることも少なくなく、、本人の自尊心を傷つけることになり、一度専門医にしっかりと相談をしたほうが良いでしょう。実際に腹腔鏡を行うと、卵巣にチョコレート嚢胞を形成する場合よりも、腹膜にべたっと広がった膜様内膜症病変を見ることが多いと言われています。診断にはまず経会陰超音波(肛門と尿道の間からエコーをする)は内診ではないので思春期女子でも負担も少なく、鑑別診断に有用となります。治療としてはまずNISÁIs(痛み止め)服用と低用量ピル(LEP)で多くはコントロールできます。内科的な病気と悩んでいるときには一度思春期に理解のある産婦人科専門医に相談されることをお勧めします。