体外受精での「良好卵」とはどのような卵でしょうか?
卵子とは卵巣に存在する生殖細胞です。人間の細胞のうちでは最大の大きさで直径0.15~0.2mmぐらいで丸い形をしており、中心に細胞核と周りに細胞質からなり、そのまわりを透明体というゼリー状の膜で保護しています。人の場合自然の排卵は1個ですので、その卵に向かって精子は1億以上が卵管内を競争して受精に向かいますが、そのうちだだ1個の選ばれた精子のみが細胞内に取り込まれて、残りはシャッタアウトされて受精が成立します。受精卵は体外受精が行われるようになってからは顕微鏡に下で観察され受精した細胞の形がそろっていたり、時間経過が順調で分割している卵が良好卵といわれてきました。したがって移植時の受精卵のグレードを見て医師も、患者さんも一憂一喜していました。ところが最近では遺伝子額の進歩で{良好卵」とは妊娠して、無事に分娩できる受精卵であることより、その定義が大きく変わりつつあります。多くの先進国で行われつつある受精卵スクーリニング(PGS)により、染色体が正常である受精卵を選んで移植すれば、着床率が高く、流産率が低いことが判明してきています。しかも年齢による卵の老化とこの受精卵の染色体異常出現の確率は比例していることがわかってきて、その上細胞質内に含まれる細胞の元気さ(活力)を示すのミトコンドリアの機能と数も加齢で減少することも加わって高齢者の妊娠・分娩が難しくなることが判明しています。従って良好卵は刺激法や採卵法が関与するのではなく、年齢の因子が最大であることより現在では若年での卵子凍結や。出来るだけ早いうちの受精卵凍結保存が重要ですが、加えてPGSが日本でも可能になれば現在増加しつつある加齢症例の大きな解決の武器になりそうです。