今回のコロナ騒動に思う(院長コラム)
今回の新コロナ感染症の急激な拡大について、思い出すのは、1985年のエイズ感染症の時です。この年に渡米して、テキサスヒューストンにたどり着いて大学から最初に言われたのは、AIDSの検査を受けることでした。日本では当時はまだ感染者もほとんどなくそんなことは他人事と思っていましたが、実はヒューストンの町はAIDSに完全に汚染され、その治療のための薬がようやく治験に入ったばかりで、私の所属した病院の隣にある慈善病院には、健康保険を持たない低所得層の人々が治験薬を求めて毎日大挙して自分の体を実験台とする治験薬を求めていました。国民皆保険制度の日本では考えられないような状況に本当に驚いたことを鮮明に思い出しました。今回のコロナ騒動でも日本政府、厚労省の対応には驚くばかりか、現場の医師としては解せないことばかりです。そもそもの出発点がオリンピック開催と、中国への忖度が優先した事でこの間違いが起きたのだと思い出します。昨日安倍首相が全国の自粛宣言解除を出しましたが、会見でこの日本方式が世界に認められたと自画自賛していましたが、この人は何を考えているのかと本当にがっかりです。現実に昨日も当院の不妊患者さんが術後に38度の熱発があり、当院から保健所に連絡、PCR検査を依頼しましたが案の定断られました。日本の政治家と取り巻き官僚は自分のことしか考えていません、しかも今回の件で我々の味方となるはずの日本生殖医学会から不妊治療を治療法が確立するか、ワクチンが出るまで治療を延期・中断との理事長会告も出ました。私は無視しましたが日本の国の上層部といわれる人たちは何を考えているのでしょうか?今回の出来事で最も大きな被害者は不妊の患者さんたちと考えます。これを契機に不妊治療をあきらたとの患者さんも少なからずおられます。医学の進歩と人の人智であのエイズもコントロールできる時代になって来ていますが、加齢による不妊治療は遅々として進みません。しかし日本人の寿命は人生100歳といわれるような時代になってきています。40台で子供を産んでもそれ以上の年月を親子でいられる時代が来ています。今回の騒動にめげずこれを契機により確実な不妊治療の確立を目指したいと考えております。