二人目妊娠希望(25歳・女性)
現在、1才2か月になる子供がいます。
私は、昔から生理不順で来ない時は、3か月以上来ない時も少なくありません。
一人目の時も薬を使って生理を起こし、クロミッドを使って排卵出来るタイミング方法で、やっと授かる事が出来ました。
そろそろ、二人目が欲しいのですが生理不順で薬を使わなと生理すら来ません。
クロミッドを使っても卵子が育ちません。
やっぱり、二人目を作るのは、難しいのでしょうか?
多のう胞卵巣症候群(PCOS)の可能性が大です。肥満や痩せ、糖尿病の家族がいませんか?最適の排卵刺激法を選択すれば妊娠は可能でしょう。
現実には無排卵症とそれに伴う排卵障害があると考えられますので、この原因をチエックすることが重要です。
一度分娩を経験しているので,先天的な原因の可能性は少ないのですから、これらを除外しで排卵のメカニスムより考えると、ホルモンコントロールの中枢である視床下部の機能に異常のある間脳視床下部性無排卵症の可能性があり、この中には体重減少や、過度の運動がきっかけで無排卵となったり、ストレスなどで下垂体からの卵胞刺激ホルモン分泌〔FSH〕が低下するタイプがあります。
このタイプは特に若年者に多くみられます。
この中の特殊な例としてプロラクチン分泌が過剰となる高プロラクチン血症があり、この場合特に気をつけなければならないのは、下垂体の良性腫瘍であるプロラクチン産生腫瘍の存在を常に念頭に置かなければなりません。
もし授乳中でないのにたとえ微量であっても乳汁分泌が持続していたら一応この疾患も念頭に入れて検査を受けましょう。
次に卵巣機能そのものに問題がある場合はやや治療が難しくなります。
特殊な例として多のう胞性卵巣症候群(PCOS)があり、背景に肥満や痩せが関与して発症する病態とされています。
日本産婦人科学会のPCOS診断基準では
- 月経異常があり
- 超音波で卵巣に多のう胞を認め
- 男性ホルモン高値かLH高値かつFSH 低値などの特徴を認める場合
とされています。
PCOSには肥満を伴う症例が少なくなく、同時にインスリン抵抗性といって前糖尿病的体質を有する場合があり、50%の方に肉親に糖尿病の家族歴を有することが知られていますので、このような体質〔インスリン抵抗性〕の有無のチエックも大切です。
治療としてはプロラクチンが高値なら下垂体線腫の有無を検討の後、薬物療法(カバサール、テルロンなど)でプロラクチン低下を測ります。
肥満の減量によってしぜん排卵回復が見られることもあり、排卵回復が無い場合には排卵誘発剤が必要となります。
この場合もインスリン抵抗性があればこれを良くするメトホルミンを併用して、クロミッドまたはゴナドトロピン注射療法にて多くの例は排卵し妊娠可能となります。