メニュー

不妊治療に伴う副作用を教えてください。

[2016.01.14]

一般的に不妊治療により生命に関する副作用が発生することはほとんどありません。

しかし時には十分な管理がされないと危険ことも少なくなく、副作用について知ることも大切です。

(1)卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

一般的な治療より体外受精(IVF)では多量のHMG(卵巣刺激ホルモン)を使用するために、数多くの卵が発育し、採卵後に卵巣腫大、脹れなどの発生をみて、入院治療が必要となることもあります。発生しやすいのは比較的若年で痩せ型の人に多く、又、20ヶ以上の卵胞発育のある場合などや、採卵全血中E2が4000pg/ml以上の場合などで、採卵を見合わせるか、HCG注射をせず点鼻法に変更する、全凍結を行い移植をしないなど、早めに管理をすれば補液のみで治療できますが、時に重症化が予想されるときには入院管理が必要で、入院は当院の協力クリニックで行います。

(2)多胎妊娠

近年は品胎(3胎)の発生が、20年前の4倍と言われ、多胎の多くの原因の80%は排卵誘発剤使用妊娠例と体外受精の複数移植胚の結果と言われておりました。出来るだけ少しの卵を移殖すれば防げますが、当然妊娠率は下がってきますので、相反するジレンマでしたが、現在は日本産婦人科学会では1回あたりの移殖数を原則1個とするようにガイドラインで決めました。その結果2007年4月ごろより、単一胚移植が方法が全国に拡がるとともに急速に体外受精での双胎は減少し現在では当院では2%を割っています。しかもこの多くが単一胚盤胞移植による一卵性双胎のみです。

移殖卵数と妊娠率

(3)流産の発生

通常の妊娠でも10~15%は流産となりますが、IVFなどの治療後では施設により異なりますが15~25%の流産があると言われております。これはもともと妊娠しにくい体質の方が妊娠することや、年齢的に高齢となって妊娠することなどと関連しており、不妊治療の担当者の悩みでもありますが、十分なホルモン治療や安静で防げる部分でもあり、担当医とよく相談しましょう。また、子宮外妊娠や内外同時妊娠も体外受精時増加するともいわれ、注意が必要です。

(4)奇形児の誕生

IVFのような人工的操作をうけて妊娠すると、奇形児の発生が増えると恐れている方も多いと思われますが、実際には全てのARTの技術を通して奇形児頻度の発生は対象と比べて増加しないというのが世界的な認識です。学会の登録委員会では誕生新生児の異常があった場合には、どのような異常かを報告するように求め、詳細にデータを蓄積しております。

当然自然な形での妊娠成立でも奇形は発生(1~2%位/生後の心奇形を含めるとさらに増加)するので、奇形発生が全く存在しないということではありません。また、重症な男性不妊で睾丸より直接採取した精子(Y精子)の中には不妊遺伝子を有する症例があり生誕した児が男児だと、この子が成人した後に不妊男性となる可能性もあると言われます。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME