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不妊治療とHCG注射療法について

[2016.04.19]

不任治療中のHCG注射療法は必要ですか?との質問をよくいただきます。HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は妊娠時の胎盤細胞より分泌されるホルモンで妊娠初期に高く着床・妊娠の診断によく使われます。また不妊治療では排卵の前の下垂体ホルモンのLH上昇を引き金として排卵が惹起され、卵が成熟し受精能を持つようになるのですが、(尿の排卵チエッカー(LHテスト)はこの上昇を見ている)純粋なLH注射製剤は原則的に日本では手に入りませんでしたし、またその血液中の作用時間が短いために臨床的には十分量が得られないことがあり、使用されませんでした。現在は90%以上LHと化学的構造が同じHCG注射製剤がLHの代わり排卵のトリガーおよび卵子の成熟を促すための製剤として用いられ、また排卵後に着床をし易くするために卵巣からの黄体ホルモン分泌促進刺激剤として用いられます。一般的に不妊の患者さんでは、適時のLH(HCG)上昇がないか、十分量が不足していると、排卵に向かって生育している未熟卵を受精能をもつ成熟卵にする事が出来なかったり、、未熟卵のまま排卵されたり、排卵できなかったりしますが、体外受精時の採卵時ににも質のよい成熟卵が採取出来ないなどの現象が起こります。点鼻刺激で間接的に下垂体を刺激してLH分泌を促す方法を自然周期と称する事もありますが、その効果はHCGより弱いために十分な刺激の効果は減じますので注意が必要です。年齢が若く下垂体ー卵巣系の機能・働きが良い方には不要の場合もありますが、不妊治療では上記の理由でHCG注射を上手に使用すれば其の臨床効果は明らかです。ただあまり早いタイミングでHCG注射を行うと卵胞の早期黄体化を惹起する事があり、やはり内分泌に深い経験を有する医師が使用時期を決定するべきと言われています。最近ではすでに販売されているr-FSHと同じく純粋なr-HCG注射製剤が日本でも2月に発売されました。保険の適応もありますので、不妊患者さんには朗報ともいえます。HCGをうまく使うことでより質の高い卵子が獲得できるわけですので、不妊治療医にとっては、HCG注射使用のタイミングが重要です。過剰刺激(OHSS)などを避けるため、使用を控えることはありますが。一般的には不妊患者さんは自然周期ではLH分泌不全が少なくないので、うまくこのHCG注射を利用することが重要です。

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