不妊に伴うインシュリン抵抗性とは?
[2016.01.14]
排卵がうまく行かない症例(特に多のう胞性卵巣症候群(PCOS))の場合に、将来、2型糖尿病になりやすいインシュリン抵抗性(IR)という状態が存在し、これを治療することによって容易に排卵することが知られています。IRは卵巣の男性ホルモン賛成を促し、これが卵巣より上位の下垂体ホルモン分泌に関与して、さらに男性ホルモンを増やす悪循環が起こると推定されています。PCOSの症状の一つである肥満もIRの結果ともいえます。検査は空腹時の血液のインシュリン値と血糖値をチェックすることで判明します。また、メトフォルミンと言う比較的安全な治療薬によりインシュリン抵抗性を低下させることが出来ます。PCOSはこのように肥満や糖尿病、排卵障害、メタボシンドロームなどと結びついているために、長期的なフォロウーが必要です。またその特異な背景から、子宮内膜癌のリスクファクターでもあり十分注意しましょう。
PCOと言われており、肥満や男性ホルモン高値が根底にある不妊の方は一度IRのチェックを受けられた方がよいでしょう。