ホルモン補充療法が再評価されているというのは本当でしょうか?
[2016.01.15]
本当です。ご存知のように2002年に米国のWHI報告でHRTの効果の否定的なレボー卜が提出され、日本でもマスコミを中心に大きく取り上げられ、臨床の現場に大きな混乱を生じました。
また、これを契機にHRTを中止した方もありましたが、ヨーロッパでは逆にWHI報告に対する反論や疑問などが出続けていました。
日本ではマスメディアが非常に否定的な印象を、一般の人たちやHRTをあまり知らない医療関 係者に与え、厚労省も否定的な通達を出したため患者さんと担当医の困惑は大きかったが、∃ーロッパでは比較的落ち着いており、その背景には30年以上のHRTの歴史をもち、HRT研究と臨床歴の層が厚く、WHIの報告にも、ほとんと姿勢が最初から一貫しています。
今、世界的なコンセンサスは国際閉経学会の2004年10月発表で代表され、
- WHI報告は60代以上の生活習慣のよくないグループでの報告で40~50代の患者には適応されない
- HRTの乳癌増加は不明である
- 心保護、ボケ、日常生活改善に有効
- HRTを現在受けている患者で順調に推移している場合には、中断する必要性はない。
以上であり、日本更年期学会もほぼ同様の立場をとっており、更年期障害で、他にリスクを有さない患者さんにはHRTは最も有効な治療法といえ、WHl報告は老年期女性で比較的、生活習慣の良くないグループへのひとつの投与試験と見なされています。
当然医学管理が十分される事が前提とも言えるでしょう。