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ダウン症の出生前治療につながる研究発表

[2017.09.07]

現在不妊治療対象患者さんの高齢化に伴って、受精卵のもっとも多い染色体異常であるダウン症児の出生(1000人に1人の確率)や、NIPTのような出生前検査の是非が社会的に問題となっています。このような背景のある中で京大の荻原教授らのグループはマウスの生まれてきたダウン症の子供の症状を改善する物質{アルジャーノン}を見つけたと9月5日に発表しました。この効果はひとのips細胞を使った実験でも確認できたとのことで、この発見はダウン症の出生前治療に結びつくかもと注目されています。勿論すぐにこの結果がヒトに応用される段階ではありませんが、日本では出生前診断でダウンと診断された患者さんの多くが人工妊娠されていることを考えると、将来的には治療の選択肢が増えるかもしれません。社会的な合意にはまだまだ多くの問題がありますが、出生前診断のあり方や、受精卵スクーリニングなど、いずれ新たな議論が必要となるかもしれません。また「障害は子供の個性の一側面」との主張にも十分理解できますので、臨床応用に至るには慎重で十分な社会的議論の必要性がありますが、現在まで治療法がなかった病気にも医学・科学の進歩が進みつつあることが感じられます。

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